陳 述 書

平成15年6月24日

根  本     栄

東京地方裁判所 民事48部 合議係 御中


 


第1.私がワールドメイトに入会し、退会に至る経緯

  1. 私、根本栄は1992年6月にワールドメイト(当時コスモメイト)に入会し、1993年にワールドメイトの信徒団体であるエンゼル会(当時タマガキ会)に入会しました。その後、エンゼル会員としてワールドメイト内で奉仕活動を続け、96年10月ころから97年10月ころまでは、中核的なエンゼル会員として麻布支部のコミッティ(世話人)の奉仕活動もしていました。深見東州(半田晴久)はワールドメイトのことを「宗教的な理念を基に現実社会に即した活動を実践するための組織」などと主張していましたが、深見とワールドメイトの活動実態を知るにつれ、その言葉とは正反対に、反社会的な思想に基づいた営利目的を第一とする団体であることを知り、1998年8月に退会しました。退会した経緯はインターネット掲示板にも投稿していますが(『ワールドメイトって単なるカルト団体?6』投稿番号90〜114)、深見やワールドメイトのとても宗教団体とは思えない反社会的言動の数々を目の当たりにして、あきれ果てて辞めました。


  2. 私がワールドメイトに入会した経緯は次のとおりです。

     1992年4月から5月頃、書店で手にしたワールドメイト(当時、コスモメイト)元・幹部 西谷泰人の著作と深見東州の著作に触れ、従来の宗教にはない独特の思想に魅かれていきました。また古事記などを研究していたものの、神道の実像がよく理解できない私にとって、神道系の宗教団体であるワールドメイトは神道理解のよき入り口のようにも思えました。
     深見東州らの著書によると、ワールドメイトは宗教団体ではなく、神社と同じで入るも自由、やめるも自由で、「退会したらタタリがある」などといった脅しや強制などもまったくなく、神道のアニミズムをベースにしているので特別な経典や聖典もなく、明るく楽しく人生を前向きに生きる人たちの勉強会のような集まりだと説明されていました。形は宗教団体でありながら、従来の宗教臭さがなく、現代的でユニークな団体だなと、新鮮な印象を受けました。
     また、教祖の深見東州(当時、深見青山)は目に見えない世界の神々と交流し、神様と一体となって人知を超えた奇跡を起こすことのできる稀有の人物とされ、彼の行う独自の秘法が紹介されていました。
     生まれながらの宿命や運命さえも変えることのできる人類史上初めて行われる大秘法だと書かれていたことに、私は強い関心を抱きました。
     毎月、東京近郊で行われる定例セミナーで見聞する深見東州は気さくで、親しみがあって、ユーモアに溢れた愉快な人物であり、権威主義的なところがなく、自ら傲慢になったり増長することを厳しく戒めている純粋な求道者という印象を受けました。私が抱いていた、「口では綺麗なことを言っていても、やっていることは金と女と権力にまみれた俗物」というステレオタイプな新興宗教の教祖というイメージからは、かけ離れた人物に見えました。
     深見東州は、自ら複数の会社を経営する実業家であり、収入はすべて副業から得ているので、宗教活動はすべてボランティアで行っており、また霊能力を高めるため生涯不犯の誓いを立てて一生女性と交わらない禁欲主義者とのことでした。
     かといってガチガチの禁欲主義者ではなく、ワールドメイトのスタッフや幹部でも結婚している人もいました。また名利功名を求めることなく、マスコミからの取材もすべて断り、露出することを自ら避けているとも公言していました。
     セミナーでの発言やワールドメイトの機関紙の情報によると、深見東州は、自分のすべての時間を、自らの魂をより高めるために書や音楽などの芸術に没頭し、また人々の幸福のため、日本のため、人類のためにと福祉活動やワールドメイトの宗教活動を不眠不休で行う超人的な努力家ということでした。
     私は、深見東州の高潔な人間性や、人知れず超人的な努力を続ける姿勢に感動し、「世の中にこれほど純粋で素晴らしい宗教家が存在したのか」と驚くとともに心の底から尊敬の念を感じました。

第2.入会中に知った深見東州及びワールドメイトの実態

  1. 深見東州の自己賞賛と霊能力

     深見は自らを聖徳太子や楠木正成の生まれ変わり、またモーセやダビデ王の生まれ変わりでもあると自称していました。しかも年を経るにしたがって、生まれ変わりの人数が徐々に増加していき、シェイクスピア、秦の始皇帝、諸葛孔明、応神天皇といった歴史上の偉人も自分の前世であると自称するようになっていきました。
     こうした新興宗教では常のことですが、深見東州も自らを人類を救う救世主と位置づけています。ワールドメイトの会員向けに配布される「弥栄の儀(いやさかのぎ)」という小冊子のなかにはこのように書かれています(乙第41号証)。

     深見先生、現実界に素の大神様(すのおおかみさま)の大御稜威(おおみいず)と御働きを顕現し、艮の金神国常立大神(うしとらのこんじん くにとこたちのおおかみ)として、神仕組み(かみしくみ)を実行され、日本から表れる真性の救世主(メシア)として世に顕現し、萬苦救済(ばんくきゅうさい)、人類救済の新世紀の創世の大任を担われ、あるいは神人合一(しんじんごういつ)の道を弘め、……

     ワールドメイトにおける救世主とは神の人類救済計画である「神仕組」を実行する大神人(だいしんじん・神の如き人の意)であり、前世ダビデ王であった深見東州のことでした。

     ごぞんじのとおり、1996年は、ダビデ王がユダヤを建国してから三千年目を迎える年。そして、「三千年の神仕組」の、大きなターニングポイントになる年である。
     わたしたち会員は皆、深見先生が前世ダビデ王だったころ、あるいはモーゼだったころに、そのまわりにいて、ともに神仕組(かみしくみ・人類を救済する計画のこと)に生きていた仲間であった。そして、「やがて三千年ののちに、みろくの世を築く仕組人(しくみびと・神の計画を実現する人々)として、ふたたびこの仕組に参画したい」…という発願(ほつがん・誓い)をたてて今の時代に生まれ、ふたたび神仕組の場に集い来たのである。
    (乙第47号証 1996年2月15日発行 月刊ワールドメイト1号 P13より )

     深見の言う「三千年の神仕組」とは、人類を救済する神の計画があり、それは3000年前から人類の歴史にプログラムされていたというのです。
     ちょうど3000年前、パレスチナの地にダビデ王が生まれ、ヘブライ民族を統一してイスラエルを建国したように、3000年後の今日再び、日本において新世紀を創造する救世主としての使命を持って生まれてきたのが深見であり、その深見を脇から支える役割をはたすのがワールドメイト会員だというのです。これをワールドメイトでは「三千年の神仕組」といいます。そして3000年にも及ぶ神の計画の成就させる大任を担った深見はこれまでの偉人たちを遥かに越えた大天才なのだそうです。
     深見はよくそのことを「三千年の神仕組、いまわの際に現れる大神人(だいしんじん・神の如き人の意)」と口癖のように言っていました。一時期、これを縮めた、「三千年に一人の大神人」というのが深見のキャッチフレーズにもなっていました。

     そのための神仕組なんだと。神様が私のことを『いまわの際にあらわれる神人』と呼んだのはこのことだったんです。……そのために、三倍にパワーアップした聖徳太子として私が出てきて、みんなと結集して日本の神力を動かし、救っていくんです。
    (乙第41号証 1996年5月1日発行 月刊ワールドメイト3号P16より )

     といった調子で深見は自らを「三倍にパワーアップした聖徳太子」などと臆面もなく自己宣伝をしていました。
     またワールドメイトの機関誌である月刊ワールドメイトでも過剰なほどの宣伝文が深見に付されています。

     それにしても、能とオペラとバレエに主演し、演出もされる人は、世界広しといえども深見先生ただお一人であることは間違いない。ずば抜けた神霊能力を持つ宗教界の大天才であると同時に、日本と世界の宗教史を完全に塗り替える大神人である何よりの証といえよう。(乙第51号証月刊ワールドメイト13号 P34より)

     もちろんこれらも数ある自己賞賛のなかの一例に過ぎません。
     そして深見は「ずば抜けた神霊能力」を駆使して、人々を救済に導くのですが、もちろん無料で救済してくれるわけではありません。


  2. 深見の「ずば抜けた神霊能力」による救済

     ワールドメイト関係の著書によると、深見東州は300種類以上の秘法・秘儀を自由自在に使いこなす、古今未曾有の大神霊能力の持ち主とのことでした。
     たとえば人が持って生まれた凶運の星を吉運の星に改善するという「星差し替え秘法」人の背後にとり憑いている悪霊を祓い開運に導く「大除霊」先祖代々受け継がれた血脈を洗い清めるという「血統転換秘法」数百人の魂を肉体から抜き出し、次元の異なる星の世界に導く「星ツアー」……などなど。これらは相応の献金をしないと受けることができません。私の入会当時、「血統転換秘法」を受けるのに10万円〜80万円の献金が必要でした。
     ただしこの金額は、1993年に深見が元信者夫妻に霊感商法で告訴されたり、統一協会の霊感商法が世間で話題になったり、法の華三法行の足裏診断が刑事告発される事件などが起こるたびに金額が低く設定されるようなりました。
     またワールドメイト関係の著書の巻末には、ワールドメイトで行っている救霊(きゅうえれい)が紹介されていました。これは、人間に背後に取り憑いている悪霊を祓う除霊のことですが、ワールドメイトで行う除霊は霊を追い払うのではなく、愛の力と言葉によって霊を改心させ、救済し、天国に導くので、除霊と言わず救霊というのです。
     深見東州は、人の開運を妨げる大きな原因の一つが霊障(れいしょう・悪霊による障害)であるとして、誰にでも、怨念霊や家代々に祟る霊、先祖霊、動物霊など、数十体から数百体の悪霊が背後についていて、その人が幸福になるのを邪魔していると説明していました。たとえ現在、順風満帆で幸福そのものの生活を送っている人でも、祟り霊はその人の運気が弱くなるのを見計らって、突然病気にしたり、破産させたり、事故を誘発したりして、不幸にするチャンスを常に伺っているので、不運続きの人だけではなく幸運な人でも一度は救霊を受けるべきだと説いていました。
     ワールドメイトでは、運命を改善し開運するために、まず救霊を受け悪霊を取り除くこと、そして上記のような深見東州の秘法を受け、前世や家系的な業(ごう・カルマともいう)を祓うことが開運の第一であるとしています。
     しかし、本当に悪霊を救うのは救霊師の霊力ではないのだと深見はいいます。たとえて言えば、どんなに性能のいい車があってもガソリンがなければ走れないように、いくら救霊師の霊力が優れていても神への誠がないと霊を救うことはできないというのです。
     ではその神への誠は何かというと、お金なのです。
     因果応報という言葉が仏教にあります。原因のない結果はないということです。不運・不幸には必ず原因がある。たとえば根本が不運に見舞われていて、霊視をするとたしかに悪霊に取り憑かれているとする。ではなぜ根本が悪霊に取り憑かれているのかというと、その深い原因には、前世で悪行を行なっていたせいだというのです。現在不運に見舞われているのは前世での悪い行いが原因であり、その結果が今世、悪霊に取り憑かれて不運・不幸の人生を送るという形で現れているのだと深見はいいます。これを業(ごう・カルマともいう)といいます。そして自分の蒔いた種は自分で刈り取らねばならない。自分で作った業は自分で解決しなければならない、これがカルマの法則である、と。この思想自体は仏教思想であり、深見独自の思想ではありません。
     このカルマの法則を深見は悪用します。ワールドメイトで救霊を受ければ取り憑いている悪霊を救えるのですが、カルマの法則からすると悪霊が取り憑いているのも前世の業であり、自ら刈り取らねばならないカルマです。ですから、その業を祓うためにはなにがしかの犠牲を払わねばなりません。
     深見は言います。命の次に大事なのはお金である。誰でもお金を出すことには苦痛を感じる。だからこそお金という形で誠を捧げることによって、救霊師を通して、神様が動き、悪霊を改心させる力になるのだ
    、と。
     すなわち、差し出す金額の多寡によってどれだけ悪霊が救われ、業が祓われるのかが決まるのだというのです。
     私の経験から言っても宗教団体に入る人間は(私を含めて)精神的に弱い人たちです。表面的にはどんなに恵まれているように見えても、自分の力だけではどうにもできない不運・不遇に悩まされ、藁にもすがる思いで宗教に助けを求めている人たちです。
     現実的な努力や実力ではどうにもならない運命の壁に突き当たり、不運を嘆いているからこそ、目に見えざる世界、魂の世界に救済を求めるのです。
     このような人たちは精神的に不安定な状態にあるために、「あなたには成仏していない先祖霊が取り憑いている。あなたの不運の原因はそれだ。だからその霊を除霊しなければいけない」などと不運の原因を断定されると(意外に思われるかもしれませんが)、不安と同時に安心感を抱くものなのです。
     なぜなら不運の原因が霊の祟りや前世の業にあるならば、それさえ解決すれば、人生の諸問題が解決できると考えるからです。出口のないトンネルで一条の光を見た思い、と言っても過言ではないと思います。そして、悪霊を取り除くために、また業を祓うために救霊や祈祷などに大金を払うことにためらいを持たなくなっていくのです。
     深見に心酔しきっていた私は、ワールドメイトの行事にできる限り参加し、深見の講話に耳を傾け、無理をして深見の高額な秘法(ひほう)を受け続けるようになり、ワールドメイトに出す金額が増えていくようになりました。
     しかし、深見の言動やワールドメイトの活動を深く知れば知るほど、深見らの誇大な自己賞賛とあまりにかけ離れた現実に直面し、徐々に不信感を覚えていくようになりました。


  3. 神事と予言の偽りについて

     先にも見たように、深見東州は自らのことをたびたび、「ずば抜けた心霊能力を持つ宗教界の大天才」、「三倍にパワーアップした聖徳太子」などと自己賞賛しています(乙第51号証など)。 
     しかし私は、深見東州が「宗教界の大天才」どころか、むしろ人並みの見識や判断力、常識さえ持たない虚言家であると断言します。
     深見東州は鹿嶋神宮や伊勢神宮などでの神事を行った時によく「ずば抜けた神霊能力」を駆使して予言をしていましたが、私の知る限り、それらの予言はすべて外れています。私は6年あまりの会員時代を通して、深見東州の予言が当たった場面を見たことがありません。その事実を一番よく知っているのが深見東州であり、ワールドメイトのはずです。にもかかわらず、「宗教界の大天才」「宗教史を塗り替える大神人」などと誇大な宣伝を繰り返し、さも過去の予言が当たっているかのように偽り、次から次へと神事と予言を乱発して、会員から多額のお金を集めていることに疑問というよりも、怒りすら覚えます。深見らの行動は完全な確信犯的行為に思えるからです。
     以下、それについて一つ一つ例を挙げていきたいと思います。

    (1) オウム真理教に関する神示

     深見東州の予言の外れた例やワールドメイト運営の失敗例などは、それこそ数え挙げたらキリがないほどありますが、まず決定的なものを挙げます。
     深見東州は、平成4年に出版された『なぜ、人は神を求めるのか−深見青山(深見青山とは深見東州の旧名です)との対話』(乙第62号証  『なぜ、人は神を求めるのかー深見青山との対話』大原一浩著・詳伝社発行 平成4年 P202-203)のなかで、オウム真理教の麻原教祖についてこのように語っています。

    (深見東州は)今、話題の教祖たちをどう見ているのだろう。
     「麻原さんは、それなりに優れた人ですし、パフォーマンスも面白いなとは思いますけど、いかんせん事を起こすのに年齢が若すぎたし、焦りと急ぎがあって、バックの組織も充分に整っていなかった。
     政界に進出するにしても、日本の政治の機構は数の論理であることを認識すれば、組織を充実、拡大してからでもよかったでしょうね。
     仏教にはおくわしいようですが、日本社会で自分に理想や信念を実現しようと思えば、もっと儒教の仁義礼知信、中と和の道の研鑽や実践がいるでしょうし、社会において寿命を長らえる、老壮の保身の法も学ばねばならないでしょうね。
     きっと未来のビジョンを見過ぎて、はやる気持ちが出すぎたのでしょう。気持ちは分かりますけど。」
     かつて、コスモメイトの研修所は、現在の椿邱から1キロほどはなれたマンションにあった。あるとき深見青山が、散歩の途中、旧研修所の近くを歩いていると、そのマンションから、異様な気が立ち上がっている。
    いったい、誰が住んでいるのかと調べると、麻原彰晃であったという。
     「私たちがいた同じマンションに引っ越してくるとは、建物から出る清々しい妙気を、さすがは鋭敏にキャッチしたのだなと思い、感心しました。
     彼の前世を見ると、ドイツ人の黒魔術の導師であり、占星術師でもあり、バイオリンを奏した音楽家でありました。彼の論理性はドイツ的な知性の故でしょうね。
     今世は東洋に生まれ、天地一体の道を会得して、50代になれば、さかんに善行を施すようになるでしょう。その時点で、力強い宗教家になると思います。」

     参考までに申し上げますと、麻原彰晃は、平成元年に信者リンチ殺害事件と坂本弁護士一家殺害事件を起こし、平成2年には細菌兵器(ボツリヌス菌)の製造に着手し、平成5年には最初のサリン製造に成功しています。オウムがテロの準備を着々と進めるなか、出版されたのがこの本でした。
     坂本弁護士事件の犯行をオウムとする見方が大方の意見であったにもかかわらず、平成4年の時点においてさえ、深見は麻原のことを「50代になれば、さかんに善行を施すように」なり「力強い宗教家になる」と予言しています。深見は稀代の殺人集団の首謀者である麻原の正体さえ見抜けなかったのです。
     その男がどうして「宗教界の大天才」などと自称できるのでしょうか。数々の殺人事件をひき起こした首謀者である麻原を賞賛していた時点で、深見には「ずば抜けた神霊能力を持つ宗教界の大天才」だの「宗教史を塗り替える大神人」などと名乗る資格はないはずです。
     深見の誇大な自己宣伝とは裏腹に彼に神霊能力や超能力がないことはこの一件だけでも十分証明されていますが、さらにワールドメイトの機関紙に掲載されている予言の数々を挙げ、深見の虚言の歴史を検証したいと思います。


    (2) 日本の政治に関する予言

    @ 1993年5月に行われた十和田神業において、次のような予言がなされました。

     平成五年の十和田湖神法悟得会の証しとして起きた「政治の改革」(十和田に降りるヨーロッパ神界が開かれ、「三年後に、日本の政治はヨーロッパレベルにまで上がり、政治で日本が世界をリードする仕組が始まる」ことが預言される。(乙第42号証 1995年1月15日発行 ワールドメイトスーニュ(ママ)〔ワールドメイトの機関誌です〕第79号 P2)

    「平成五年から三年後に、日本の政治はヨーロッパレベルにまで上がり、政治で世界をリードする」とのことですが、平成15年の今日の時点において、深見の予言が的外れであることに異義を唱える者はないでしょう。

    A さらにこれに付随して、引き続き1994年に行われた枚聴神業で、深見は次のような予言をしています。

     「枚聞神社・池田湖で神業を行ったことによって、十和田で預言された政治で日本が世界をリードする仕組が始まる。その証しとして、「次の次の首相は、政治で世界をリードする真に素晴らしい政治家が就任する」。

     これは私が当時、九州の現地会場まで行って神事に参加し、深見から直接聞いた発言です。
     はたして、その「政治で世界をリードする素晴らしい政治家」である「次の次の首相」が村山元首相だったのです。すると、さすがに村山元首相を「政治で世界をリードする真に素晴らしい政治家」と主張するには抵抗があったらしく、かといって予言を簡単に翻すわけにもいかず、機関紙では次のように神事の内容を歪曲して掲載しました。

     「平成六年の沖縄・枚聞神業・海原開き大神事の証しとして起きた「細川首相辞任」「羽田内閣総辞職」「村山内閣成立」(「三ヶ月以内に政治が変わる」と預言された沖縄神業の数日後であり、「この神業から三年で、日本が何をしたらよいのかという、本当の中身が備わる。そのように政治も変わる」と事前に預言されていた枚聞神業の前日に細川内閣が辞任。また海原開き大神事の当日に羽田内閣が総辞職。沖縄・枚聞神業ではまた、「次の次の総理大臣が真に素晴らしい首相」とのご神示があったが、その通りに村山内閣が続いている)……など、月日までピタリと保証を合わせて、証し(注・ワールドメイトが神事を行ったことによって、現実社会にその影響が現れること)が次々起きているのです。」(乙第42号証 1995年1月15日発行 ワールドメイトスーニュ第79号 P2)

     機関紙上では「政治で世界をリードする」の発言部分が削除され、たんに「真に素晴らしい首相」とトーンダウンしています。

    B ところが、村山元首相を「真に素晴らしい首相」と主張し続けるのも無理があったようで、機関紙のなかでの村山元首相の評価は年を経るにしたがい露骨に変わっていきました。

     「村山総理も、客観的に見て能力がたりないところは多々ありますが、それでも私心なく懸命にやっているところに、神のご加護があります。」(乙第45号証 1995年8月15日発行 ワールドメイトスーニュ第86号 P8より)

     乙第42号証では「真に素晴らしい首相」としていた村山元首相ことを、この乙第45号証では「客観的に見て能力がたりないところは多々あり」と厳しい評価を下しています。事実上、深見の予言が外れたことを自ら認めているのです。

    C さらに1996年には、また当時の神事の内容を曲げてさも深見の予言が当たったかのように報じています。

     「また、九四年の池田湖神業において、まさにその前日に細川首相が辞任を発表し、その時に深見先生は枚聞神社の社頭において、「枚聞の神様は、『次の次の首相が良く、長続きする』とおっしゃっています」と衛星放送でおっしゃったが、まさにその通り。……深見先生のおっしゃったその通り、大方の予想に反して比較的長期の政権になったのです」(乙第48号証 1996年12月15日発行 月刊ワールドメイト第8号 P27より)

     ここでは乙第42号証の枚聞での予言が「次の次の首相が良く、長続きする」という内容であったとしていますが、明らかに虚偽です。私の記憶ではこのような発言はありませんでしたし、乙第42号証でも「沖縄・枚聞神業ではまた、『次の次の総理大臣が真に素晴らしい首相』とのご神示があった」となっています。
     こうした乙第42号証の存在を知らない人が乙第48号証の記事を読めば、まるで深見が最初から村山政権が長期政権化することのみを予言していたかのように受け取ってしまうはずです。
     ワールドメイトは深見の予言が外れたことを知りながら、さも予言が当たっているかのように虚偽の記事を掲載し、会員を騙しているのです。


    (3) 終末論に関する予言

    @ 1994年12月の伊勢神事

     「十二月二十六日、……その時、瞬時に伊勢の神様が(深見)先生に降りられ、ご神示を下されました。それは、「このままでは、伊勢の神事の神力は、例年の五十分の一となる。熱意と至誠の不足によるものなり。そして、来年の日本国の運勢も、百分の一となるだろう。政治は三大混乱、経済は二大混乱を経験するだろう」…という内容だったのです。」

    「大ニュースが飛び込んできました。何と、午後九時十五分、三陸沖でマグニチュード七・五の大地震が起きたのです。最も被害の大きいと見られる八戸は震度六で、全戸が停電状態。」

    「ただちにこの地震の報を、お祈りに入られていた深見先生にお伝えいたしました。深見先生は、しばし瞑目された後、このようにおっしゃいました。……「しかし一方で、これは来年の日本のことを、地震に託して神様が告げておられるのです。被害にあった八戸とは、「多くの家」という意味の言霊です。その家々がすべて、灯の消えたような状態(停電)になり、また日本の国が大きく揺れ動くということを指しているのです」(乙第42号証 ワールドメイトスーニュ第79号 P2―3)

     これらは一見すると、翌1995年1月に起きた阪神大震災や3月の地下鉄サリン事件など大災害に見舞われた日本の社会情勢を的確に予言したもののように思えますが、単なる偶然です。というのも、この危機的状況は1994年末に行われたワールドメイト伊勢神事の成功によって回避されたことになっているからです。同号証にはこのように書かれています。

     「そしてついに、神事で一丸となって祈りを極め、天の岩戸を押し開いた結果、なんと「昨年の二倍の神力(しんりき 神様の発揮する力)である。この神力を、来年の日本と、世界と、ご神業(ごしんぎょう ワールドメイトの活動のこと)と、汝ら一人ひとりに賦与するものなり」と、神様がおっしゃったのです!」

     「私たちはそのお言葉に、最大の危機的状況をついに回避できたことに、心から安堵感を覚えました。と同時に、胸の奥底から湧き上がってくるような、体を震わす喜びを感じたのです。日本の九十五年は、すばらしい年になる! 他の誰も知らないが、神様が大神力をふるわれて、この国を御守り下さっている。」(乙第42号証 ワールドメイトスーニュ第79号 P4)

     以上のように、伊勢神事が終了した1994年12月31日の朝の時点では、1995年に日本を見舞うはずだった危機的状況は回避できたはずでした。だが、1995年1月17日に阪神大震災が発生し、深見の予言は破綻しました。当たり前のことですが、ワールドメイトの神事は日本の危機回避の役には立たなかったのです。
     予言が外れたと見るや、恥知らずにも深見東州は180度方向転換し、危機的終末予言を展開しはじめます。

    A 1995年2月節分祭・立春祭

     「そして、2月3日深夜に始まった節分祭。皇大神社のご神前で深見先生が祝詞を奏上され始めると、夜の寒気がグッと一段深まったように感じた。そしてこの時、神武天皇と国常立大神様が、相次いでご降臨され、深見先生の祝詞に託してこうおっしゃったのである。「今年は、日本の国始まって以来の危急存亡の時である。蒙古来襲の時の2倍危険な事態になる」…と。

     「以下に、立春祭(2月4日夜)にて深見先生より明かされた内容の一部を紹介する。……「今までずっとお祈りしていたのですが、先程、突然目の前にウワッと大本教開祖の出口ナオの霊が現れて、私に『日本の国の危急存亡』が一体何を意味するのか…を告げられたのです。何だと思いますか。
     地震なんて生易しいものじゃない。『戦争が起きる。日本は戦争に巻き込まれる。そしてこのまま行けば、50万人の人が命を落とす』とおっしゃったのです。……最悪の場合、2650年続いた日本の国は、今年滅んでしまう。あるいは、滅びる寸前まで行く可能性がある。だからこそ昨日、神武天皇と国常立大神様が『日本の国始まって以来の危急存亡の時』とおっしゃったのです!」(乙第43号証 ワールドメイトスーニュ第81号 P2―3)

     1994年の暮れの時点では、「神力二倍」「最大の危機的状況をついに回避できた」(乙第42号証)はずなのに、阪神大震災で予言が破綻すると、一転して「日本の国始まって以来の危急存亡」「50万人の人が命を落とす」「日本の国は、今年滅んでしまう」などと、なんの脈絡もなく唐突に終末論を展開しはじめたのです。開いた口がふさがらないとはこのことです。
     深見の話によれば、この戦争とは北朝鮮が突如日本に軍事攻撃を仕掛けてくるというのです。
     そしてこの日本開闢以来の危機を回避するために特別国防神業(とくべつこくぼうしんぎょう)が開かれることになりました。
     日本各地の神域に鎮もっている神様をワールドメイトが神事を行うことによって揺り起こし、神力の発動を促し、日本に神力を賦与して、危機的状況を回避しようというのです。深見の予言を信じるなら、すでに前年の伊勢神事(乙第42号証)で回避されていたはずなのに、です。
     
     B 1995年2月 岩木山特別国防神業
     深見は北朝鮮の危険性を煽り、この危機を回避するためと称して、会員を集めて緊急特別神業なるものを始めます。もちろん、有料です。

     「そして、2月25・26日には、緊急特別神業の皮切りに「岩木山」が開かれた。そして、何と。早速ものすごい神力顕現の大証しが現れたのである。

     「緊急特別国防神法悟得会」の当日、神様が「戦争を起こす国」と告げておられた北朝鮮で、ナンバー2の実力者が亡くなったのだ。」(乙第43号証 ワールドメイトスーニュ第81号 P5)

     「そして、2月27日、……アメリカ国防総省が、「東アジア・太平洋安全保障戦略報告」を発表。……この日突然、「東アジアの十万人の米軍勢力を、将来にわたって維持する」と発表したのだ。……逆に言えば、このまま米軍がアジア戦力を削減し続けていたなら、間違いなく北朝鮮は、戦争へと一直線に突き進んでいただろうと思われるのだ。
     まさに北朝鮮が容易に戦争を仕掛けることができない、大きな障害が生まれたのである。
     これを証しと言わずして何と言おう。私たちの祈りに応え、神様が様々な方向から北朝鮮軍の封じ込めを行って下さっているのであるが、まだまだこれで完全とは言えず、油断はできない」

    C 地下鉄サリン事件に関する深見の言辞

     そして1995年3月20日、地下鉄サリン事件が発生します。
     その翌21日、急遽、「今後の神業の大事な方向性が示される。関東のエンゼル会員全員集合せよ!」との緊急連絡がエンゼル会員にあり、東京・大手町のサンケイホールでエンゼル会員向けに深見東州の講演会が行われました。
     この日、深見東州は前日発生した地下鉄サリン事件をとりあげ、以下のような発言をしました。

     「統一教会の背後には北朝鮮がある。統一教会は北朝鮮の日本占領計画の手先のような働きをしている」

     「坂本弁護士事件はオウムの仕業ではない。一家三人を拉致するなんて日本人にできることではない。金大中事件に見るように、これは韓国人のメンタリティのなせる業である。だいたい、オウムが犯行現場にわざわざプルシャのバッジを落としていくなんて、そんなバカなことがあるわけがない。坂本弁護士事件は統一教会の犯行だ。坂本弁護士が問題にしていた麻原の血を飲むイニシエーションはもともと統一教会が行っていたことであり、坂本弁護士の追及によって血を飲む儀式の虚構性が暴かれれば、統一教会にも波及するので、先手を打って坂本弁護士の口を塞いだというのが真相だ。拉致現場にオウムのプルシャが落ちていたのは、オウムに濡れ衣を着せるための偽装工作だ」。

     「地下鉄サリン事件はオウムの犯行ではない。これは国家的な謀略に基づいた軍事的なテロであり、オウムのような素人集団にできることではない。この事件の真相は北朝鮮のテロ行為だ」

     もともと麻原シンパであった深見東州は、麻原教祖のことを「本物の求道心を持った立派な修行者」と高く評価し、「しかし、肝臓ガンで体が弱って指導力がなくなり、そこへ北朝鮮のスパイがオウムにもぐりこんで、彼らがオウムをコントロールしている」のが実情であり、「麻原さんは本当は無実なんです」。と断言していました。
     また「麻原さんは大変、気のキャッチ力(霊感)がある。だから、麻原さんは『アメリカの陰謀』とか『アメリカが攻めてくる』と言っているが、本当にそう思っているわけではない。 麻原さんは北朝鮮が日本に攻めてくることを霊感でキャッチしている。だけど、麻原さんは頭がいいから、わざと北朝鮮とは言わずに『アメリカが攻めてくる』と言って焦点をぼかして警告しているんだ」。などとも発言し、あくまで麻原を擁護する発言に終始していました。
     細かい語句については私の記憶違いもあるとは思いますが、大筋では以上のような講演内容であったことに間違いありません。
     それ以前から深見東州は、かねてよりオウム真理教の麻原彰晃教祖を宗教家として高く評価し、好意的な発言を繰り返していました。
     たとえば、「宗教学者の島田裕己を通じて、麻原さんと対談しないかというお誘いがあった。私は前から言っているが、麻原さんのことを大変ユニークで興味深い教祖さんだと思っているのでOKした。しかし、麻原さんの体調が悪くて結局実現はしなかった」。と麻原教祖との対談のオファーがあり、それを快諾していたことをセミナーで語っていたことがあります。
     また、チャクラと呼ばれる霊的なツボの効能を解説する段で、深見東州は「オヘソのチャクラは『ド』のチャクラ。『ド』は『度胸』の『ド』。だから、オヘソのチャクラが開くと何物にも揺るがない度胸が身につく。オウム真理教の麻原さんはこの『ド』のチャクラが開いている。だから、坂本弁護士事件で、どんなにマスコミに叩かれてもまったく揺るがない。あれは『ド』のチャクラが開いているから。麻原さんは2つチャクラが開いている」とも語っていました。
     しかし、オウムの施設に強制捜査が入り、地下鉄サリン事件をはじめ、坂本弁護士事件などオウムの犯行の全貌が明らかになっていきました。深見東州の話の内容と、現実とのギャップに私はショックを受けました。
     深見東州が間違っていたことは曲げようのない事実です。それを深見東州自身がどう総括するのか、私はそれを自分の耳で確かめたいと思いました。そして、ほどなくして一般会員を含む定例セミナーが開催されました。
     過日のサンケイホールでの講演内容を知っている私は深見東州がどのような釈明をするのか注目して聞いていましたが、その内容は次のようなものでした。
     「麻原の正体を神様が教えてくれた。『言霊で解義すればすぐにわかるよ』と。『麻原とは浅はか』の意味なんだよ、と神様が教えてくれました」と。
     細かいことはよく覚えていませんが、この他にも「麻原のいう『ポア』は神霊界の法則からすればおかしい。神霊界の実相を知らない人間に言うことだ」とか「オウムは天皇の暗殺を企んでいる」とか「オウムのなかにヤクザが2人いると神様が教えてくれた」などと、今さらながらの麻原批判をしていました。
     麻原の主張するポアの思想がおかしいなんていうことは、別に深見東州に言われるまでもなく誰にだって分かることです。それよりも「神霊界の実相」を熟知している世界一の霊能者である深見東州が、その麻原を「立派な求道者」と持ち上げた上に「麻原さんは無実」と断言したのはなぜなのか? それを今になって、急に手のひらを返したのはどうしてなのか? そしてその変節についてなんの説明がないのはどうしてなのか? 私としてはそちらの「実相」を教えていただきたかったのですが、問題の核心には触れずじまいでした。

     自称・世界一の霊能者であり、300種類以上の秘法を使いこなす、三千年に一人の大神人であるはずの深見東州の実像に触れた最初の機会でした。
     それ以前にも各種マスコミでワールドメイトがバッシングされ、深見東州に不信を抱きはじめてはいましたが、それらはあくまで間接的な報道や情報であり、私が直接確かめたものではありません。それらが事実ではあることがわかっていても、自分の目で確かめていない以上、どこかで否定したい気持ちもありました。
     しかし、今度は私自身の目で見、耳で聞いた事実です。事実を受け止めないわけにはいきませんでした。
     私は落胆し、失望しました。いつか深見東州から麻原無罪発言についての訂正や謝罪があるのではないかという期待を持って毎月の定例セミナーに参加していましたが、相変わらずの麻原批判を繰り返すばかりで、自らの麻原無罪発言についてはなにも語りませんでした。
     当時のワールドメイト機関紙である「ワールドメイトスーニュ」にも、3月21日のサンケイホールでの講演会のことはただの一行も報じられていません。あの日の講演自体が、抹殺されてしまったのです。そのあからさまな隠蔽体質に、さらに不信感と嫌悪感が募りました。
     そればかりではありません。恐るべきことにワールドメイトは地下鉄サリン事件についてワールドメイトの行った岩木山神事によって発動された岩木山の神様が起こした出来事だと説明しているのです。

     「岩木山神業とサリン事件との関係をあかす! 国防神業の大いなる証し」
     「今号ではさらに、岩木山神業から約一ヶ月を経て現れた、実に大きな「岩木山の神、顕現の証」について、皆様にお知らせいたします。
     それは何か…? 神様は他ならぬ「オウム真理教問題」こそが、岩木山の神様が動かれて、世に現したものだとおっしゃるのです…!」

    ■岩木山の阿修羅王の大御働き
     「しかし、このサリン事件が、あのラッシュ時に、しかも密閉された地下鉄で行われたことを考えれば、死者数十人という数が、奇跡的なほど少ない数であることに気付きます。「神様はどうして、こんな事件を防いでくださらなかったのか…」と、嘆かれた方もありましょう。しかしこれは、実際は数倍の大惨事が起こるところを、神様が最小限の形にまで縮小してくださったものであったのです。では、このサリン事件を通じて、神様が意図されていたことは何だったのでしょうか…? 
     それはその後の、一連の「オウム真理教問題」にもつながります。
     神様は、このサリン事件を契機として、オウム真理教がひたひたと画策していた策謀を徹底的にあばき、白日のもとにさらすべく仕組んでおられたのです。否、正しくは、オウムの内幕をあばくことで、「それが具体的には何者かは解らないが、オウムの後ろで糸を引き、スポンサーとなっていた存在」のもくろみを徹底的に打ち砕くことこそが、神様の真の御心だったのです。
     オウムに強制捜査が入った段階で、既に神様は、「オウムの背後にはA国の暗躍がある」と深見先生におっしゃっていました。そして、岩木山の神様・阿修羅王が、その激しいお働きを以て、それをあばいて、近未来に計画していた恐ろしい謀略を阻止するためにこの事件をおこしたのだということを教えて下さったのです。(乙第44号証 ワールドメイトスーニュ 緊急特別号 P2−3)

     「近未来に計画していた恐ろしい謀略を阻止するためにこの事件(地下鉄サリン事件)をおこしたのだ」とワールドメイトは主張しています。
     以上を要約すると、地下鉄サリン事件の真相は、北朝鮮の日本占領計画を打ち砕くためにワールドメイトが行った岩木山神事によって、岩木山の神様である阿修羅王が働いて、オウム真理教信者に地下鉄サリン事件を起こさせたということです。
     ワールドメイトは、自らが地下鉄サリン事件の心霊的背景の首謀者であったことを機関誌上で誇らしく主張し、それによって北朝鮮の野望を打ち砕いたと自画自賛しているのです。恐ろしいことです。
     「本来50万人が命を失う大惨事になるところだったものが、神様のおかげで最小限に食い止めることができた」などといえば一見もっともな主張のようにも見えますが、そもそも主張の前提となる「近未来に計画していた恐ろしい謀略」なるものにはまったく根拠がありません。深見の空想であり、虚言に過ぎません。
     もし本当に神様が大惨事を最小限に食い止めるというのなら、坂本弁護士事件が発生した時点で徹底的にオウムを追及していればよかったのです。そうすれば、のちの松本サリン事件も地下鉄サリン事件も起きずにすんだはずです。ところが現実はどうだったでしょうか。
     坂本弁護士事件から3年が経過した1992年、(乙第62号証)『なぜ、人は神を求めるのか−深見青山との対話』のなかで深見は麻原について「50代になれば力強い宗教家になる」と予言し、1995年3月21日の東京大手町サンケイホールに於ける講演において、「坂本弁護士事件の真犯人は統一教会、オウムは濡れ衣を着せられただけ」と断言し、「地下鉄サリン事件は北朝鮮の仕業」「麻原さんは無実です」と麻原擁護、オウム擁護に終始していたのです。
     その深見が地下鉄サリン事件について「本来50万人が命を失う大惨事になるところだったものが、神様のおかげで最小限に食い止めることができた」などと手柄顔できる立場でしょうか。
     架空の大惨事を前提にして、無差別テロを肯定し、市民の大量虐殺を正当化するような思想はもはや宗教とは言えません。オウムですら地下鉄サリン事件について謝罪していることを思えば、ワールドメイトはオウムよりも潜在的な危険性を有しているとも言えます。このような危険思想団体をそれと知りつつ放置しておくことは社会正義に反することです。
     一般的な社会常識から言ってもワールドメイトの主張はカルト以外のなにものでもありません。私はインターネットの掲示板への投稿で、ワールドメイトをカルト教団、あるいはプレ・オウムと表現し批判しましたが、この背景事情と照らし合わせればそれらがきわめて妥当な表現であることがご理解いただけると思います。
     私がインターネットでワールドメイト批判を展開したのはワールドメイトがカルト化し、オウム化していくことに対する危機感があったことも一因です。


    (4) 1995年6月の鹿嶋神業

      「土曜日の大神事が終わった翌朝、毎日新聞にこんな記事がありました。「銚子沖に、2千頭のイルカの群れが集う「楽園」があることがわかった」…と。
     このたびの神事が行われた場所が、まさにその銚子であります。深見先生が神様にうかがったところ、これは  「気比の神が現れた証」であったのです。
     ご存じの通り、古事記によれば、品陀和気命(ほんだわけのみこと)(後の応神天皇)が気比にて宣り直しを行い、穢れを祓ったという記述があります。
     そのとき気比の神が「明朝、浜にお出かけになれば、贈り物をさしあげましょう」とおっしゃったので、翌日浜に行ってみると、鼻の傷ついたイルカが浜いっぱいに集まっていた…とされています。
     この故事にならって、気比の神が翌朝に、イルカの群れにて証をあらわされたのです。
     …気比の神は、日本の政治をつかさどる神であります。すなわち、気比の神の証が銚子沖にあらわれたのは、「日本の政治の調子(銚子)を、これから良くしていく」という大宣言であったとのことです。」(乙第45号証)1995年8月15日発行 ワールドメイトスーニュ第86号 P7―8より

     ワールドメイトでは度々このような駄洒落が、ワールドメイトが行った神事の「証し」として語られます。銚子沖にイルカの大群が現れた1995年6月以降、日本の政治の調子がよくなったと本気で実感している人がはたして日本に何人いるでしょうか。


    (5) 1995年12月の伊勢神業における予言

      「このたびの神事で、古代ユダヤの霊界を発動させるもうひとつの理由……それは日本文化のうちに眠る、メソポタミアやエジプトの古代文化を発動させることにありました。こうして、ヨーロッパ文化と共通する部分が強く出てくることで日本が真にヨーロッパやアメリカなどに認められ、通用する国になっていくのです。」(乙第47号証 1996年2月15日発行 月刊ワールドメイト1号 P13より )

     先に述べたとおり、1993年5月に行われた十和田神業によれば、平成8年にはすでに日本の政治はヨーロッパレベルにまで上がり、政治で日本が世界をリードする仕組が始まっているはずです。再度「古代ユダヤ霊界を発動」させ「ヨーロッパ文化と共通する部分が強く出てくることで日本が真にヨーロッパやアメリカなどに認められる」と予言すること自体、1993年の予言の破綻を認めたものといえます。

     また、深見は1996年についてこのような予言も行っています。

     「また、このたびの神事では事前に「五千人集まれば、1996年の国運は50倍になる」と神様がおっしゃっていたが、昼の部までを終えた時点で、なんと5321名もの方が参加された。会員の、ほぼ4人に1人が参加されたことになる。神様もたいへんにお喜びくださり、「約束通り、来年の国運はまさに50倍になるだろう」とおっしゃってくださったことを、ここに記させていただく。」(同P20より)

     ワールドメイトが伊勢で行った神事によって、1996年の日本の国運は50倍になったとのことです。たしかに阪神大震災や地下鉄サリン事件など暗い事件が相次いだ1995年に比べれば、よい年であることは間違いないでしょうが、それにしても国運50倍とは大きく出たものです。
     さらに、村山首相について、乙第47号証P21には次のような説明がなされています。

     「年明け早々、「村山首相辞任」のニュースに、おどろかれた方も多いことと思う。……なんと、12月末に、大仁総本部にほどちかい伊豆長岡に宿を取って、そこで武村大蔵大臣らと、やめる相談をしていたのだという。しかもその時期は、12月28日夕方〜31日夕方まで。つまり、伊勢のご神業の期間と、ピタリ一致していたのである。
     さらにおどろくべきことに、武村氏が宿に入り、村山氏と辞任の相談をはじめた時間は、深見先生が伊雑宮で参加者にお話をされていた時間帯とも一致しているのだ! 偶然というには、あまりにできすぎているとはいえまいか。
     わたしたちの行うご神業では、まさに生ける神が動かれ、かならずや国政や世界情勢に大きな証があらわれてくる。このたびはまさに、わたしたちの伊勢の神業が、そのままストレートに村山氏・武村氏らの相談に影響して、もっとも国運が上がるような方向に進んだのだといえるだろう」

     前記のとおり、乙第42号証では「沖縄・枚聞神業ではまた、『次の次の総理大臣が真に素晴らしい首相』とのご神示があったが、その通りに村山内閣が続いている」としています。その村山内閣が続けば「沖縄・枚聞神業の証し」であり、村山内閣が倒れれば「伊勢の証し」なのだそうです。子供騙しのトリックです。


    (6) 新進党の「大躍進」

    @ 1996年10月に行われた箱根神事に私は参加しましたが、そこで深見は「今回の選挙で新進党が大躍進する」と断言していました。「アテナ女神は小さき者に力を与え勝たせる神」、「アテナ女神が新進党を大躍進させるとおっしゃっている」と。深見東州はよほど自信があったらしく、たしか当時の全会員にその旨の講話テープを送っていたと記憶しています。
     ところが、実際は惨憺たるものでした。そこでまた月刊ワールドメイトでは予言の内容が歪曲されて報じられているのです。

     「参拝に先立ち、深見東州先生よりお話をいただいた。「……また、アテナの神様は政治の面でお働きになりますが、今回の選挙については、新進党が意外に伸びるようです。思い切った決断と改革が人々にアピールしていくだろう、と。」(乙第48号証 1996年12月15日発行 月刊ワールドメイト8号 P15より)

     「十月十日の箱根神社団体参拝では、深見先生から、「アテナ女神の御神示」が皆様に明かされました。曰く「新進党が伸びる」。中にはそれを聞いて、オヤッと思った方もおられたことと存じます。何しろその時期には、どの新聞を見ても「自民党は過半数を越える勢い。新進党は惨敗か」という選挙予想が載っていたのですから」
     「ところが、いざフタを開けてみると、自民党は勝ったものの過半数に届かず、新進党は言われていたよりもずっと多くの当選者を出していたのです。無論、自民党がトップで新進党が第二党、という構図はかわりませんが、それにしても事前の予想をくつがえす新進党の善戦でありました。」(同P24―25 『政局に大変化! 総選挙にあらわれた大いなる証』と題する特別記事より。)

      深見東州の「新進党が大躍進する」発言直後から、新進党は坂道を転げ落ちるかのように崩壊への道を突き進みはじめます。
     乙第48号証ではあたかも新進党が健闘したかのように書いてありますが、選挙の結果は明らかに新進党の敗北でした。そのため新進党内部から小沢執行部の責任を問う声が高まります。しかし、小沢執行部はこれを拒否したため、新進党は混乱に陥りました。そして、選挙の責任をとらない小沢執行部への不満が噴出し、離党者が相次ぎます。
     トドメを刺したのは、オレンジ共済事件でした。この巨額詐欺事件の主犯であった新進党の友部元議員が選挙名簿上位にランクされていたことから、小沢執行部は窮地に追い込まれ、ついに新進党に見切りをつけた旧公明勢力も離脱し、新進党は死に体に。
     結局、深見東州の「新進党が大躍進する」発言から約1年2ヶ月後、1997年12月下旬、新進党は解散を発表します。
     これに関し、乙第54号証の1998年6月1日発行「月刊ワールドメイト」16号P69には、左手にマイクを持ち、右手に「新進 解党」の見出しが踊る毎日新聞を手にする深見東州の写真が掲載されています。キャプションには、「証の新聞を紹介される深見先生」とあります。この時、深見東州は「新進党解党」を報じる新聞を手にこう言ってのけたのです、「伊勢神事の証しが出ました」と。
     ちょうどこの時期、ワールドメイトは伊勢で神事を行なっていました。そして伊勢神事を行なったことによってその善き影響が現実社会に顕現した、その証拠が「新進党解党」だというのです。つい1年前に「新進党が大躍進する」と予言した本人が、です。
     もちろん新進党が大躍進していたら「箱根神事の証が出ました」と深見は発言していたでしょう。
     新進党が躍進したら「箱根神事の証」、新進党が解散したら「伊勢神事の証」、どちらに転んでもワールドメイト神事の「証し」なのです。これでは予言ではなくただのペテンです。先の村山政権の例と同じく、これが深見東州の予言の実態なのです。


    (7) 「神様は自民党を強くする」予言

     私の記憶では、深見東州はこの伊勢神事でただ一言だけ、新進党解散に触れています。 「神様は日本のこの難局を、自民党を強くして乗り切るおつもりなんでしょう」とだけ、深見東州は述べ、1996年箱根神事での「新進党が大躍進」発言についてはなにもコメントしませんでした。しかし、こんなその場しのぎの逃げ口上が通用するほど世間は甘くありません。
     深見東州の「神様は自民党を強くする」発言からわずか7ヵ月後の1998年7月、参議院選挙で自民党は歴史的な惨敗を喫して、過半数割れの非常事態に陥り、橋本首相は退陣に追い込まれます。自民党は強くなるどころか、弱体化してしまったのです。
     同年7月、自民党の密室政治で小渕政権が誕生します。単独政権での政局運営が難しい自民党は、後に自由党、公明党と連立を組みます。これは「自・公・保」と形を変えて現在に至っているのです。
     ところで深見は日本の政治体制について次のように予言をしていました(乙第48号証 1996年12月15日発行 月刊ワールドメイト8号 P26より)

     「ここで、多くの方は思い起こされたのではないでしょうか。九四年の池田湖神業から鹿島神業にかけて、神様がずっと「やがて日本の政治は、二大政党制を取らず、三大保守政党によって運営されていく。そのやり方が完成したとき、世界中がその日本流の政治に習うようになる」という旨をおっしゃっていたことを!
     そして気がつけば……なんと、自民党・新進党に加えて民主党が旗揚げし、まさに「三大保守政党」の芽生えがハッキリと現れているではありませんか。
     二大政党と言えばイギリスとアメリカが典型ですが、両者には大きな違いがあります。イギリスは「保守」と「革新」の二大政党。これは、政権が入れ替わるときに、あまりにも極端に政策がひっくりかえって継続しないので、産業の発展を妨げる…と言われます。対してアメリカは二大保守政党。若干の違いこそあれ、どちらの党が政権をとってもそれほど極端な路線変更はありません。それゆえに、産業界も人々も安心して経済活動を行えるわけです。
     しかし神様は、さらに進んだ「三大保守政党」を日本に確立させるつもりだ…とおっしゃっていたのです。その当時は「まさか、そんな…」といった、ピンとこない感じが大半でありましたが、気がつけば今の政局はまさにその様相が現れているのです。……しかし日本を「政治一流」の国とするためのキーであった  「三大保守政党」が、ついに政局に現れてきた! これは特筆すべき証であり、また日本の将来にとって大きな希望であります。」

     この時期、深見東州はことあるごとに「三大保守政党」体制が神様の働きによって近い将来実現することを何度も強調していました。そして、それが世界の政治の範となるべき日本独自の政治体制として確立されていくのだと。新進党が混乱状態にある時ですら「現在の政局を見ていると神様がおっしゃったように『三大保守政党』が徐々に実現しつつある」などと呑気な発言をしていましたが、オレンジ共済事件以降はピタリと口を閉ざすようになりました。
     あれだけ声高に主張していた「三大保守政党」論ですが、最近は一言も口にしていませんが、それも当然です。なにしろ現在は深見の予言とは裏腹に、『自・自・公』→『自・公・保』の3党連立政権時代となっているのですから。

     深見東州の予言がことごとく外れていること、深見東州に超能力などないことはもはや明らかです。それを知りながら、ワールドメイトは現在でも深見東州の過去の予言を意図的に歪曲し、あたかも深見東州の予言が当たっているかのような記事を度々掲載しています。これは明らかな詐欺行為です。
     ワールドメイトでは今尚、同じような神事が行われ、同じような予言が繰り返され、同じように外れ続けています。日本の経済が回復し、政治が世界一流レベルになったとは、深見東州自身ですら思っていないでしょう。思ってないから、同じような神事が続けているのだとも言えますが、だとすると彼が自らを霊能力者と自称し、霊能力を売り物にして会員から多額のお金を集めているのは詐欺行為と言えます。


    (8) 終末予言

     深見は1997年以後も盛んに終末予言をふりかざしました。

    @ 1997年2月 節分祭、5月 七面山神業

     「ここで思い出されるのは、今年の節分で降ろされた御神示である。
     エドガー・ケイシーの予言では、一九九八年日本が沈没し、「悲劇の国・日本」と言われるようになる――とあるが、 「日本沈没」の真意は、深見先生が神様から受け取られたお話によると、まず第一に国家的な経済の破綻。そして第二に、箱根の山の噴火と地震。箱根の爆発に連動して富士山も小爆発を起こす……。日本経済が衰弱して息も絶え絶えとなったときに噴火が起き、その二つが連動して国家支出は膨大となり、首都圏の機能が一時的に麻痺状態となって、ついには国家予算が破綻する……。
     またカバラの奥義を体得した三人の霊能者が、三年前から日本に呪いをかけており、「6」という働きの神を使った呪いによって、箱根が噴火し、富士が小爆発を起こすように働きかけている。
     それを防ぐためには、七面山を開くべし。
     ――それが、節分で具体的に降ろされた国難回避の方向性であり、ここから第二国防神業が始まった。」(乙第50号証 月刊ワールドメイト12号 P13より)

     1995年2月の節分祭では北朝鮮の軍事侵攻によって「日本の国が潰れる」ほどの壊滅的な打撃を受けるとのお説だったが (乙第43号証)、1997年2月の節分祭では箱根神山の噴火と地震で首都が壊滅し日本経済が破綻するとのお説(乙第50号証)。その背後には三人の霊能者が日本に呪いをかけているのだとか。またぞろ「日本開闢以来の危急存亡」です。
     このような現実味のない終末予言で信者に恐怖心を植えつけ、救済・救国名目の儀式や行事で信者から多額の金員を徴収しようとするのはオウムや法の華三法行などに見られるようにカルト団体の常套手段です。1997年6月の鹿島神業でも終末予言は続きました。

    A 1997年6月 鹿嶋神業

     「八基のピラミッドを8の字になるように配置。その8の字の中心のチョンに当たるところには、6月1日の白山神業で白山の神様が降臨した64個の水晶を据える。
     8の字型のそれぞれの輪の中央には、古代エジプトの王族風の衣装に身を包んだ植松先生と深見先生がスの神様のひもろぎとして座られる。
     こうして、無限の働きを世に顕現される一大神霊空間がたちまちのうちに現出し、「ピラミッドパワー超無限大循環神歩」が行なわれた」
     「それが終わりに近づいた頃、深見先生が不意にマイクでおっしゃった。
     「日本が勝った。六の呪いは富士山にかかっていたようですが、それが今外れました。この神歩は、日本の国にかけられていた六の呪いを切るために、神様が用意されたものだったようです。
     しかし、六の呪いは外れましたが、まだ三の呪いもかけられているようです。発展力を阻止するという三の呪いだ。これは伊勢でまた外していきましょう」
     カバラに精通した外国の三人の霊能者が、日本にかけた「六の呪い」。そのために、箱根が噴火し、首都の機能が麻痺状態になる恐れがある…という驚愕の御神示が今年の節分祭で降ろされた。それを打ち破るべく、五月から六月にかけて、七面山、三峯、白山、佐渡、身延、と次々に国防神業が行われてきた。それら今年前半の御神業の集大成である鹿嶋神事において、よくやく六の呪いが外れた…。」(乙第51号証 月刊ワールドメイト13号 P41〜42より)

    (9) 香港の景気に関する予言

     そして、その鹿嶋神事において、深見は香港の景気について次のように予言しました(乙第51号証 1997年鹿嶋神事P44より)

     「土曜日の神事から一日おいた7月1日、鹿嶋神事の平日版が開催された。偶然にも、この日は香港が中国に返還される歴史的な日である。」
     「そして、香港の今後の展望が明かされた。香港は、政治不安があるために、投資家がだんだんと遠のいていき、三年くらいかけて劣化の道をたどっていく。三年たったら、今の三分の一ぐらいの繁栄ぶりになってしまうとのことだった。」

      この予言もまた大外れ。1997年と2000年の香港の経済状態を比較しても、こんな大幅な落ち込みはありません。もちろん、香港経済も97年以降、深刻な打撃を受けてはいるが、それは投資家が遠のいたためではなく、逆に香港ドルが国際投機筋から投機の対象にされたことと、アジアの経済危機が主な理由です。
    外務省ホームページには、次のように記載されています(乙第63号証「最近の香港経済情勢 平成13年3月」より http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hongkong/keizai.html)。

     「(香港の経済成長率は)2000年第1四半期は14.2%となり、87年第3四半期以来、ほぼ12年半ぶりの高成長を記録、また、第2四半期は10.9%、第3四半期は10.4%となり、経済は回復の兆しを見せつつある」

     「98年8月14日、香港金融管理局(HKMA)はヘッジファンドが為替と株式の両市場に強い攻撃をかけてきたことが確認されたとして、香港ドル防衛のために前例のない株式市場への介入を行った」

     「なお、香港が不況に陥った大きな要因は、97年10月以降の国際投機筋の攻撃から香港ドルを防衛するために高金利誘導政策がとられた結果、株式及び不動産の暴落を招き、それによりGDPの約60%を占める個人消費が急激に落ち込んだことにある。また、域外経済の悪化による輸出の減退、観光客の減少も経済全体に影響を与えている。」

      深見東州が鹿嶋神事で「香港は、政治不安があるために、投資家がだんだんと遠のいていく」と発言してから、わずか2ヵ月後の97年8月、投資家が遠のくどころか、香港は国際投機筋から猛攻撃を受けています。また「今の三分の一ぐらいの繁栄ぶりになってしまう」と予言された2000年の香港経済は10%以上の高成長を記録しています。深見東州の予言が外れていることは明らかです。


    (10) エドガー・ケイシーの予言について

     1997年10月箱根神事で深見は次のように予言しました(乙第53号証 1998年2月1日発行 月刊ワールドメイト第15号 P40-42)。

     「まず、平成十年五月中旬に、関東に三回地震が起きる可能性がある。地震の規模は、震度5、震度6、震度8……! 箱根・神山の噴火がその発端だが、政治経済の中枢である東京が襲われるので、その被害は阪神大震災の時のおよそ三倍。首都壊滅によって日本経済が破綻し、さらにはこの大地震が引き金となって国土の九十パーセントが水没、エデガー・ケイシーが予言したように、一九九八年、日本が沈み、悲劇の国・日本と言われるようになるとのことであった。首都の機能が回復するには五十年ぐらいかかるため、つくばへ遷都の動きが起こり、やがてはつくばに世界連邦政府ができる……。」

      1996年12月の伊勢神業(乙第49号証)や1997年5月の七面山神業における発言(乙第50号証)では「エドガー・ケイシーが予言した『日本が沈む』というのは、物理的な現象というよりも、経済が破綻して、国家として、国際舞台に浮上して来なくなるということ」として述べていたのに、ここでは「日本が沈む」は文字どおり日本の国土が水没することになっています。深見の発言は予言に限らず、このようにコロコロ変節するのが常でした。


    (11) 平成10年からの「日本の猛反撃」について

     また、深見は1997年12月伊勢神事において、次のように予言した(乙第54号証 1998年6月1日発行 月刊ワールドメイト第16号 P54―55より)。

     「九十七年の鹿島で初めて行われた「ピラミッドパワー超無限大循環神歩」は、カバラに精通した外国の三人の霊能者が日本の国にかけた「六」の呪いを打ち破るという神霊的意味を秘めた神事であった。(本誌13号参照)。今回の伊勢バージョンは、「六」の呪いの奥に隠れていた「三」の呪いを打破するために再び行われた」

     「こうした無限のパワーによって「三」の呪いを打ち破っていただくべく行われた神歩だが、皆の行進が進むに連れて、『三』の呪いの奥に隠されていた別の数の呪いが、深見先生によって次々と明らかにされていった!
     出版業界にかけられた「十一」の呪い、日本の音楽行政にかけられている「二十一」の呪い、日本の国の教育行政を歪めている「二十二」の呪いをはじめ、八十八項目にわけて細やかにかけられていたのだ。日本の都市の発達を阻害し、出版、芸術、金融、政治、経済、官僚機構、新聞業界、音楽業界など、八十八項目に分けてあらゆる分野に呪いをかけ、日本を乗っ取り、だめにしようとしているのがカバラを操る霊能者たちの最終的な意図だったようである。それを神様が見破ってくださったのだ。
     深見先生は次のような言葉でしめくくられた。
     「平成十年六月まではちょっと大変ですが、平成十年の暮れから、主に経済を中心に日本の猛反撃が始まります。神様がこれらの呪いをことごとく打ち破り、素晴らしい発展をするように導いてくださいます。日本は神様が守っている国だから、危なそうでも絶対に大丈夫。本当の神力を出す方法さえわかれば、天下無敵の国になります。」

      呪いを打ち破っていただいたのは大変けっこうなことですが、肝心の平成10年暮れから「日本の猛反撃」が始まったかどうか、「天下無敵の国」になったかどうかは論評するまでもありません。


    (12) 1998年3月熊野神事

     ここでの神事の内容は次のとおりでした。

     「皆でご祈願をした後、深見先生は来年の国運についてのご神示を受けられました。曰く、「今年は剣山を開いて何とか危機を免れるだろうが、来年は日本の国が総崩れに近い。経済よりも政治が危機に瀕する。内閣のリコールが起きて総崩れになる。国が乗っ取られそうな状態にまで陥るであろう……」(乙第55号証 1998年9月1日発行 月刊ワールドメイト第17号 P45)

      つい3ヶ月前に(乙第54号証)「88項目」もの「呪いをことごとく打ち破り」「平成十年暮れから…日本の猛反撃が始まります」と力強く断言していたのに、もう「来年は日本の国が総崩れ」「国が乗っ取られそうな状態にまで陥る」などと180度反対の予言に変節しています。深見予言のいい加減さ、無責任さがよくわかります。


    (13) 1998年4月 金華山神事

     さらに深見の的外れな予言は続きます(乙第55号証 1998年9月1日発行 月刊ワールドメイト第17号 P52)。
     「四月二十五日、「金華山黄金山神社開き神事」が行われました。

     金華山は、三宅島・佐渡島と並んで、日本の金融不安を解決し金融・財政をたて直す神様が鎮もっておられる大神域。三宅島と佐渡島の神域のフタはすでに開かれておりますが、金華山だけが謎のまま残されていたのです。
     金華山は昔から、「三回参れば一生お金に困らない」と言われておりますが、深見先生が事前に明かしてくださったところによると、それは三体の金龍神様がいらっしゃるからです。一回参れば一体の金龍神様のご守護を受け、二回参れば二体目の金龍神様の守護を受け、三回参れば三体すべての金龍神様のご守護がいただけるとのことでした。」
    「このたびの神事によって、金華山に秘められたさらに深い神霊的謎が深見先生によって一挙にひもとかれました。……何と金華山には世界第二の金融の神が鎮もっておられ、三ヵ月後からどんどん日本の国の財政の建て直しをされることを約束してくださったのです……!」

      なにも言うべきことはありません。これが深見予言の実態です。


    (14) インドの核実験に関する神事

     インドの核実験については深見は次のような危険思想を披露しました(乙第55号証 1998年9月1日発行 月刊ワールドメイト第17号 P60-64)。

     「この五月に箱根の神山が爆発し、首都圏の機能がストップすると神様からいわれていたのを弭化(みか 未然のうちに防ぐこと)していただくべく、必死の思いでゴールデンウィーク神事の八つの扉を開いた後、石垣島にM7・7の地震がありました。その周辺の宮古島、石垣島など、ご神業でふたを開けたとばかりが地震に見舞われたようです。私たちの祈りの結集によって、災劫勃発の流れが変わった証しです。」

    「そしてその後、ちょうど五月の中旬にあたる頃、インドでは二度の核実験が行われ、インドネシアでは暴動が起きて五百人以上の人が亡くなりました。
     これは大いなる証しです。神山と富士で二度爆発するところだったのを、インドの核実験の地下爆発に振り替えていただいて、もう一つ、東京の首都機能がストップするはずだったところが、インドネシアの政治問題に振り替えていただいたのです。新聞で『インドネシアの首都機能ストップ』という見出しを見たときは、本当に驚きました。神様がおっしゃったそのままだったからです。その二つの方向に弭化されて、それで六割か七割。証しはまだまだあるぞ…と神様はおっしゃていました」

     「さらに五月二十二日未明には、太平洋をはさんだ日本の対岸の国ボリビアで、M5・9とM6・8の地震が連続して発生。また、パキスタンでは六回目の核実験が行われました。
     いずれも、日本に起きるはずだった災いが、より小さな形で散らされていったのです。このように、五月はあっと驚くような社会現象がたて続けに起こりましたが、それらはまさに、日本の国が大きな峠をある程度乗り越えて、危機から救われた証拠でありました。」

      先の地下鉄サリン事件の解釈同様、ワールドメイトの危険思想がよく表れています。世界唯一の被爆国民である日本人が、しかも核廃絶をもっとも強く願うべき自称宗教団体のリーダーが、事もあろうにインドやパキスタンで核実験が行われたことによって日本の災厄が祓われたと堂々と公言しているのですから開いた口がふさがらないとはこのことです。
     ここから伺えるワールドメイトの思想なるものは、一見宗教的な色彩を纏ってはいますが、その中核にあるのは自分の幸せのためなら他人を犠牲にすることを何とも思わない極端な国粋主義、自己中心主義にすぎません。
     このようなワールドメイトの反社会的な思想は一般的な社会常識として万人が共有しうるものではありません。実際に、ここに引用したような文言を一般的なマスコミ媒体で発表したら、深見の引き合いに出されたインド、パキスタン、インドネシアの方々のみならず、国際世論から袋叩きにあうのは間違いありません。
     恐ろしいのはワールドメイトの会員がこのような危険思想をそれと知らず、崇高な宗教的理念としてなんの疑念も持たずに受け入れてしまっている現実があることです。ワールドメイトの会員は深見の思想を学べば学ぶほど、知らず知らず社会の構成員としての常識を喪失し、精神的思想的に孤立していく傾向があります。そして一般社会からの疎外感から逃避するために精神的連帯をワールドメイトの構成員に求めるようになり、さらに社会的な孤立を深めるという悪循環から抜けられなくなるのです。いわゆるカルト化です。私の会員時代の体験からも、このことはいくら強調しても強調しすぎることはないと考えています。
     もちろん常識をわきまえている会員も存在しますが、ワールドメイトにおいては深見の言葉は絶対であり、いかに深見が非常識な言動を繰り返そうとも表立って反論することはとてもできません。もし深見に対して批判的・懐疑的な言葉を口にするとまず間違いなく「魔が入っている(悪霊に取り憑かれている)」と周囲の人間に決め付けられ、反省を求められます。
     深見が「宗教史を塗り替える大神人」であることは無謬の真実であり、彼に逆らうことはすなわち神に逆らうことと同義であり、そのような不届者には悪魔が取り憑いているのだ、という論法なのです。


    (15) 深見によるマインドコントロール

     さらに深見は次のように、深見に対して批判的なことを思ったり口にしただけで不運になるのだと脅しともとれる発言をしています。

     「ついこの間、両先生の素晴らしさをみんなで話し合っていたんです。そうしたら、その場がものすごく盛り上がって、みんな徹夜にも関わらず、元気いっぱいになったんです。神様から応援をいただいているのが実感できて、それ以来、何もかもが絶好調です。考え方も前向きになりました。職場の同僚からは、『最近キミと一緒にいると、僕も元気になるんだよ』って言われます。このすばらしい体験をぜひ皆さんにお伝えしたいと思います」
     感動の口振りが文面からあふれるようなそのお手紙を、深見先生にお見せしたと、先生はニコニコしながら、こう教えてくださいました。

     「確かにその通りです。『ふかみ』と言うだけで、私におかかりになっている神々さまが全て聞いていらっしゃいますから、私の素晴らしさを讃えるとその霊界に感応し、皆さん爆発的に運がよくなっていくのです。逆に、悪く思ったり、それを口に出したりすると、直ちにそれが雲になり、その本人は、神業的にも、現実的にも、二進も三進もいかなくなってしまいます。特に南米など、今まで開いてきた全ての神様が私におかかりになっていますので、『ふかみ』というだけで、良くも悪くもすぐに結果が出るのです。自分でも恐ろしいぐらいです。だって、地震を起こしたりする神様ですから。思うだけで神様は来ますから、口に出せばなおさらのことです」
     全知全能の御親の神様と一体になっておられる両先生のすばらしさを、お互いに語り合い、言祝ぎあっていますと、たちまちの内に、両先生におかかりになっている神々様が霊線を結んでくださり、言祝ぐ皆さま一人ひとりに、絶大なるご神徳を与えて下さる…当たり前のようですが、これほど確かで簡単で、しかも全員が大盛り上がりに盛り上がる開運方法はありません。」(乙第59号証 2000年6月15日発行 新・月刊ワールドメイト P160)

      先にも述べましたが、宗教団体に入る人たちは精神的に弱い人たちです。表面的にはどんなに恵まれているように見えても、自分の力だけではどうにもできない不運・不遇に悩まされ、藁にもすがる思いで宗教に助けを求めている人たちです。
     このように自分の人生に不運・不遇が続くのは目に見えない世界の霊の祟りや前世での行いが原因であると信じ込み、救いを求めている信者に対し、深見を悪く思うだけで霊的な不運に見舞われるのだという言動を繰り返せば、潜在的な恐怖心が呼び覚まされ、どうしても深見に対して批判的な見方ができなくなります。
     一度このマインドコントロールに染まってしまうと、たとえ深見の明らかに異常な言動に不信感を覚えても、深見を表立って批判することにためらいを覚え、自分の考えや感情を押し殺し、無理やり深見の言動に自分を合わせてしまいがちです。
     そうした時間を長く過ごすと、やがて自分自身を見失い、教団的な価値観でしかものを考えられなくなります。
     積み重なる組織の矛盾や深見の言動に不信感をいだいても、一度染み付いたマインドコントロールの呪縛から抜け出すのは困難です。深見批判のタブーが強く根付いてしまっているため、健全な主体性を取り戻すにはある程度の時間と努力が必要ですし、場合によってはマインドコントロールの呪縛から抜け出せない人もいます。
     ワールドメイトを退会しようと思うが辞めると不運になりそうで怖くてやめられないとか、あるいはワールドメイトを辞めてからも体調が悪いとか仕事がうまくいかないといった出来事があると「ワールドメイトを辞めたせいではないか」「深見先生に不信を抱いた罰ではないか」と不安に苛まれる会員や元会員の話をインターネットの投稿でよく見ますし、私の知り合いからも聞いています。
     私自身も退会後しばらくは同様の不安や葛藤を経験しているので、彼らの気持ちがよくわかります。
     私がインターネットの投稿で深見に対し「バカ」「ノータリン」といった言葉を使ったのは今現在このようなマインドコントロールで苦しみ悩む会員の方や元会員の方の呪縛を解き放つため、また自分自身の心のなかに残存しているマインドコントロールの呪縛を解くための方法でもありました。
     これはインターネット掲示板の記録ログには残っていませんが、私は2002年の1月か2月頃、実際に乙第59号証の深見の発言文章のコピーとともに「深見の悪口を言っただけで不運になるなら、おれは深見の悪口をネット上で書くから不運にしてみせてくれ」と挑発的な文章を投稿しています。
     私は実名でインターネットの掲示板に投稿していましたから、深見の発言があくまでマインドコントロール目的の悪質な脅しに過ぎず、深見を批判しようと悪口を言おうと、あるいはワールドメイトを辞めようと、決して霊的な不幸も現実的な不幸も起きないことを私自身が実証すればマインドコントロールに苦しむ人々の不安を取り除く一助になると考えたのです。
     ワールドメイト側は私のそうした瑣末な発言部分を取り上げ名誉毀損で提訴したわけですが、深見の脅しによって日々不安に苛まれている人々の苦しみを思うとき、釈然としないものを感じます。


    (16) 1999年11月 出雲神業

     ここでも深見は終末予言を繰り返しました(乙第56号証 2000年1月15日発行 新・月刊ワールドメイト2月号 P5―8)

     「このまま行けば、来年1月に、日本は米国とアジア2国が仕掛ける『引っかけ』にかかる。そして、5月にアジア2国が手を組んで、日本に大危機をもたらす出来事を起こす。それはちょうど、アジア全体を思って国の方向を誤った、大東亜戦争の頃に似ている。想像もつかない悲劇が待ち受けており、日本にとって致命的なことになる。」

      またぞろ性懲りもなく戦争終末予言です。1995年の北朝鮮の軍事攻撃予言(乙第43号証)にはじまり、乙第50号証の箱根火山の爆発日本沈没3人の霊能者の呪いと来て(乙第56号証)、今度は米国と中国と台湾による国際的な謀略によって日本が軍事攻撃を受けるのだそうです。


    (17) ジュビロ磐田に関する予言

     1999年12月に行われた伊勢神事でのことです(乙第57号証 2000年2月15日発行 新・月刊ワールドメイト 3月号 P6−8)。

     「1999年の日本、アジア王者のサッカーチーム・ジュビロ磐田に、マケドニア出身のギョギッツァ・ハジェブスキー氏が新監督として就任することが決定。磐田の後任監督問題は、内外の複数の候補が挙がっていたが、『世界レベルのクラブを目指す』」という基本コンセプトから最終的に海外に絞られていた。(1999年12月29日「日刊スポーツ」より抜粋) 深見先生曰く、「これは偉大なる証である!」とのこと。」

     「マケドニアといえばアレキサンダー大王の出身地であり、世界の歴史の中で、彼こそがマケドニア王として当時の世界最大版図を築いた人物。それが、99年11月の出雲神業で明かされた、国防総大将として顕現される出雲大神の「後ろの正面」だったのです。しかも磐田は、ワールドメイト総本部のある静岡県のチームであり、写真で見るハジェブスキー氏は、どことなくアレキサンダー大王を連想させる、ギリシャ・ローマ時代の彫像のような整った容貌であります。そして、どこか深見先生にも似ています。」

     「その深意を深見先生がわかりやすいように解説してくださいました。……
     「それにしても面白いでしょう。何人もの後任の監督候補があった中で、世界に通用するクラブを目指すということで、マケドニアから監督が来た。ということは日本の国も、いろいろな神様がいらっしゃるわけですが、世界のレベルを目指す日本になるために、マケドニアのアレキサンダー大王が出雲の大国主としていらっしゃったということです。おそらくスの神様、菊理姫の神様が、将来国防の総大将とするべく、そして21世紀に日本の国がアジアと西洋を融合して、新しいヘレニズム文化を生み出すための監督として、マケドニアのアレキサンダー大王を古代に出雲にお招きになったということです。そこまで深く考えないといけないわけです。
     出雲が開かれたのは11月27、28日で、この監督の決定はその後ですから、ご神霊がお出ましになる証として、こういうことが現実界に起きたということです。
     そして、ピタリとこの日に表された偉大なる証を胸に、伊雑宮団体参拝が厳粛に執り行われたのであります。
     参拝の後、次のようなご神示が深見先生に降ろされました。
     「ジュビロ磐田とはお前のことじゃ」とご神霊がおっしゃっておられたそうです。いよいよ新しい時代と、新しい仕組が始まろうとしていることを、ひしひしと感じます。」

      出雲大社に祀られていた古の偉人がアレキサンダー大王だったとは寡聞にして知りませんでした。深見によれば静岡県の強豪サッカークラブであるジュビロ磐田の新監督がマケドニア出身だったのは、静岡県に本部を置くワールドメイトが眠れるアレキサンダー大王の神魂を呼び起こした出雲神事の証であり、深見に「ジュビロ磐田とはお前のことじゃ」とまでご神示があったそうですが、その結末は次の通りです。

    (乙第64号証)

    9月4日  磐田、ハジェヴスキー監督退団

     強いジュビロに戻してほしい
     J1のジュビロ磐田が9月1日(金)、ハジェヴスキー監督の退団と同時に、新監督にトップコーチの鈴木政一氏が就任することを発表したが、これにともない9月3日に記者会見がおこなわれた。
     荒田社長はハジェヴスキー監督退団の経緯について、「磐田は3年間に8つのタイトルを獲得しているので、最低1つはタイトルをとってもらわないと監督失格だという話をしたが、ファーストステージではとれなかった。いろいろ改善策は出たが、結論として、ハジェヴスキー監督の理想とする戦術・戦略が、磐田の選手にマッチしなかった。また、選手交代の不可解さが重なり、選手が不安を持ちだし、コミュニケーションギャップが生まれ、現在の成績に至ったと考えられるため、選手とのコミュニケーションをとることが大事だということで、日本人監督にした」と説明、また鈴木新監督には「強かった磐田に戻して欲しい」と期待を寄せた。
     鈴木氏は、95年に磐田サテライト監督から強化部育成課長に就任、昨年はスカウト部長も兼任し、今年のセカンドステージよりコーチを務め、今回チームを率いることになった。「私も、強いジュビロでなければならないと思うし、社長の目標である、世界に通じるチームが目標です。今のジュビロは98年度を頂点にレベルが下がっている。これを早く改善し、強いジュビロに戻したい。ナビスコ、アジアクラブ選手権と残りのセカンドステージで、いい結果を出すようにがんばりたい」と豊富を語った。
     http://www.so-net.ne.jp/FW/news/2000/fn_040.html より

      21世紀の日本に新しいヘレニズム文明を創造する出雲神事の証だったはずのハジェブスキー監督は、「監督失格」の烙印を押され、1年契約の満了を待たずシーズン途中の2000年9月に事実上解任されています。どこか深見の姿と重なるものがあります。


    (18) 台中問題に関する予言

     2000年2月、緊急雌島雄島神業(きんきゅうめしまおしましんぎょう)における深見の予言です。

     「2000年2月10日、緊急雌島雄島神業が開催されました。この開催が決まったのは、わずか四日前の2月6日、関東定例講義のときです。発端は定例講義の前夜、深見先生が次のようなご神示を受けたられたことから始まります。

     「去年11月の出雲神業の時から警告していた、『2000年1月、日本は米国とアジア2国が仕掛ける“引っかけ”にかかる』という危機は、1月から2月に延びた」

     「それは深見先生が昨年の11月、出雲で予言されていた内容と、ピタリ符号する内容でありました。2月1日にアメリカ下院で承認されていたある法案に端を発して、アジアで一食即発の軍事対立がまさに起きようとしていたのです。」

     アジアで起こる軍事危機の可能性
     「2月1日、アメリカ下院は台湾安全保障強化法」という法案を可決しました。これは、アメリカが台湾に軍事援助を行う内容です。中国は当然、これを聞いて大反発、「米中関係に重大な影響を及ぼす」と抗議しています。」

     「もし台湾支持の法案が正式に法案化されたら、日本は微妙な立場におかれます。中国と台湾の衝突が起きたら、日本はどうするのか。アメリカは台湾防衛のために、日本を基地として兵力を出すでしょう。中国は、その基地となる日本を叩くでしょう。まさにアジア2国と米国が仕掛ける引っかけで、日本がはめられるのです。
     また、李登輝が訪日を希望したらどうするのか。アメリカの手前、訪日を断るわけにも行かず、しかし訪日を許せば、中国との仲は険悪化して、どんな事態になるか分かりません。神様がおっしゃった通り、2月に入った途端にこうした状況が表れたことには、驚きを禁じ得ません。日本は、一つ誤れば、戦火の危機にさらされるような危ない状態にいるのです」(乙第58号証 2000年5月15日発行 新・月刊ワールドメイト P7―8)

      馬鹿馬鹿しいとしか言いようがありません。台中問題が日本にとっても深刻な国際問題であることは論を待ちませんが、李登輝氏の訪日によって日本が戦火の危機にさらされているなどと本気で主張しているのは世界広しと言えども深見東州ただ一人でしょう。
     『2000年1月、日本は米国とアジア2国が仕掛ける“引っかけ”にかかる』という深見予言の適当な落としどころがなかったので、時期を1ヶ月ずらして、2000年2月の李登輝氏訪日と強引にこじつけて予言の成就を強弁しているだけです。
     1995年の北朝鮮の軍事侵攻予言1997年の箱根火山の爆発・地震による日本沈没3人の霊能者の呪いに続いて、今度はアメリカ・台湾・中国の国際的な陰謀によって日本が軍事的攻撃を受けるというお決まりの終末戦争予言です。
     手を変え品を変え、次々と終末予言を繰り返しては救国名目の神事を乱発し、会員から自発的に参加費用や寄付金を徴収しようとするワールドメイトの巧妙な手口なのです。
     しかも馬鹿馬鹿しいのはこれだけではありません。


    (19) 日本経済に関する予言

    @ 同じ乙第58号証にはこうも記載されています。

     「さらに、日本経済がなぜこれほど困窮続きなのか、その奥に秘められていた本当のご神意も明かされました。」
     「『ソフト業界の大立者S氏が、じつは日本経済を狂わせている、○○○のスパイである。いまはアメリカ経済が調子よく、日本は冴えないが、しかし、あと三年はこれでいいのだ』……と。様々な神事において、日本経済のことをいくら祈ってもなかなか回復せず、アメリカばかり繁栄していたのは、大きな意味で、日本が神様に守られていたからだったのです! 不況とはいえ、日本はやはりアメリカに次いで世界第二位の経済大国。二番手であっても、アジアやヨーロッパのどの国よりも成功しています。つねに世界一の国と比べてがんばってきたために、三位以下をうんと離しています。こんな小さな国で資源もないのに、これは偉大なこと。だからこそ、あと三年くらいは繁栄しすぎない方がいいというのです。」(乙第58号証P13―14)

     「国運50倍」(乙第47号証)とか「平成十年の暮れから…日本の猛反撃が始まる」「天下無敵の国」(乙第54号証)とか、「三ヵ月後からどんどん日本の国の財政の建て直しをされることを約束してくださった」(乙第55号証)、「ともあれこの瞬間から、日本の国の再生と創造が本格的に始まるのです」(乙第56号証)などと大々的にワールドメイトの神事の霊験あらたかなこと、日本経済の回復を謳ってきた挙句に、いっこうに日本経済が回復しないと見るや、深見は恥知らずにも手のひらを返して、「あと三年はこれでいい」などと開き直っているのです! 
     2000年の時点で、日本の経済不況があと3年続くことを是とする日本人が何人いたでしょうか。
      深見はさらにつけ加えます。

     「最後に全員で拝礼しました。すると、新たなご神示が……。「三年は長すぎるから、二年で回復するようにしましょう」
     皆から明るい拍手が起こったのは言うまでもありません」

      しかし、この深見予言がなされた2000年2月から2年が経過した2002年の時点で日本経済が回復していないことは深見自身も認めざるをえないでしょう。最初の予言の「あと3年」からしても2003年6月現在、すでに期限が過ぎています。

    A 2000年2月 厳島びらき神業

     2002年2月にもこのように予言しました。

     「ところが、99年12月の伊勢大神事前夜、「秘鍵開示ビックバン会」の一番最後に、厳島の神がお出ましになり、2月中に神事を行うようにとのご神勅が下された。このとき、深見先生は驚きのあまり30秒ほど沈黙されたあと、こうおっしゃっていました。
    「とてつもないような後ろの正面だ。何回聞いても教えてくれなかったのに、何で一番最後になったのか、ついにわかった。これで本当に2月からは日本の経済は磐石なものになる。この秘鍵開示ビックバン会の本当の目的は、最後にこれを教えるためだったんだ。」(乙第58号証 2000年5月15日発行 新・月刊ワールドメイト P17―18)

      2000年2月でようやく「日本の経済は磐石なものになる」とのことでしたが、現実は深見の予言を受け入れなかったようです。

    B 2000年6月 疾風怒涛 筥崎びらき神業

     「日本は衰退しているように見えて、そうではない。次へのエネルギーを蓄えているのだから心配することはないぞ。バブルのときに心おごれる日本になって、神の鉄槌を食らい、10年間は空白といわれるほど経済が困窮したかに見えるが、じつはその次の20年間に向かっていくためのエネルギーを蓄えているにすぎない。それが調ったら、また急速にすごい力で伸びていく」(乙第60号証 2000年9月15日発行 新・月刊ワールドメイト P67−68)

      2月の厳島神業(乙第58号証)で「日本の経済は磐石」になったはずなのに、その舌の根も乾かないうちにこの有様。狼少年の空しいデマカセはいつまで続くのでしょうか。


    (20)私の手元にある資料は乙第40号証から乙第64号証のとおりですが、この後も深見は「アメリカのブッシュ大統領が裏で糸を引いて中国をけしかけ、日本に奇襲をかけさせる計画が進行している」などとお決まりの終末戦争予言で信者を脅かしては、不安心理に乗じて、救済・救国名目で神事や行事を連発して信者から多額のお金を集めています。
     つまり深見予言の実態は、信者から金員を徴収するための虚言に他なりません。
     深見の終末予言商法が始まったのは1995年の節分からですが、その背景には1994年5月に元信者夫妻や元信者から提訴された2件の霊感商法裁判があると私は思います。
     原告の元信者夫妻は原因不明の病気で苦しむ子供のことを深見に相談したところ、深見は「この子の前世は殿さま、父親は家老、母親は勘定役で、親子で三千人を殺している。その倍の人を救わないと救済されない」と言い、一人七百万円を払って“救霊師”となって奉仕活動をするように求めたといいます。夫妻は、その金をつくるために世田谷区にあった当時の自宅を売却し、また父親に「八年で寿命切れます」などとさらなる脅しを行い、総額で6千万円以上の献金をさせたことが各マスコミで報道されています。
     この裁判は、ワールドメイト側が数千万円の和解金を原告夫妻に支払い、提訴を取り下げてもらうことで決着しています。
     これらの霊感商法裁判とマスコミ報道によって深見青山とコスモメイトの悪行が広く社会に知られてしまったため、その後、深見青山は深見東州に通称名を変更し、また団体名も半年の間にコスモメイト→パワフルコスモメイト→ワールドメイトと二度も名称を変更しています。
     必然的に個人相談者への霊的な脅しと救済名目による献金の強要というワールドメイトの霊感商法も方向転換せざるをえなくなり、個人への脅しから日本全体の「戦争」「地震」「沈没」といった終末予言と救国名目神事への参加による献金強要というシステムへとシフトさせていったのは明らかです。
     個人に「八年で寿命切れます」などと言って金員を徴収すれば悪質な霊感商法になってしまいますが、「北朝鮮が日本に攻めてきて50万人が死ぬ」「火山が爆発して、首都機能が麻痺して、日本が沈没する」などと言って、救国名目の行事を行い金員を徴収するぶんには霊感商法にあたるまい、と。
     このように言うと深見らは「私たちは日本のため世界のため神様のため、誠心誠意、真摯な態度で宗教活動を行っている」と反論するかもしれませんが、これまで見たように、深見発言の一貫性のなさ、発言がコロコロ変わる変節ぶり、出す予言・出す予言、悉く外れているにもかかわらず(麻原を賞賛するような墓穴を掘っている)懲りもせずさらに予言を乱発してやまない厚顔ぶり、その深見を「宗教史を塗り替える大神人」などと言って憚らない傍若無人ぶり、これらが本当に真摯な宗教活動と言えるでしょうか。
     もし深見が「私は、麻原彰晃のことを『力強い宗教家になる』と予言しました。坂本弁護士事件も地下鉄サリン事件もオウムの犯行ではない、麻原さんは無実だ、と発言しました。村山元総理のことを『政治で世界をリードする真に素晴らしい政治家』と予言しました。阪神大震災や地下鉄サリン事件が起きた1995年は『素晴らしい年になる』と予言しました。1996年10月に新進党が大躍進すると予言しました。平成10年暮れから日本の猛反撃が始まると予言しました。1997年に3年後には香港経済は今の三分の一ぐらいに衰退していると予言しました。……これまでの私の予言はすべて外れています。私は誠心誠意、全身全霊、日本の繁栄とみなさんの幸せを祈祷・祈念いたしますので、是非、ワールドメイトの神事に参加してください」と信者に呼びかけ、信者もこれらの前提事実に納得した上で参加し、神事が行われるのなら何ら問題はないと思います。深見らの宗教活動が営利目的ではなく、真に宗教的理念に基づいたものであるなら、本来そうあるべきでしょう。
     しかし現実に、深見が自らの予言がすべて外れている事実を信者の前で認めてしまったら、ワールドメイト神事の参加者は激減し、信者はそのほとんどがやめてしまうでしょう。
     だから実際には、深見らにとって都合の悪い事実は意図的に信者から隠蔽し、さも深見が行った予言や神事が当たっていたかのように装い、今なお、「中国が奇襲をかけてくる」などと信者に脅しをかけ、「戦争を未然に防ぐための神事」なるものを行っては信者から金員を徴収しているのです。
     虚心坦懐に深見らの活動を眺めてみれば、それが利他的な宗教的理念によって行われているのではなく、よく多くの収益をあげる営利目的で行われているものと判断せざるをえません。


第3.書き込みにいたる経緯

  1. 深見東州の嘘の数々

    (1) 私が深見東州とワールドメイトに疑問を感じ始めたのは、1994年のマスコミ報道が最初です。当時、ワールドメイトの幹部であった村田康一氏が1993年に脱会し、深見東州とワールドメイトの内幕をマスコミに暴露したとされるものです。
     私もサンデー毎日などで報道記事を読みました。記事のなかには明らかな誤りもありましたが、私たち一般会員の知らない真実も含まれていました。
     たとえば、深見東州はワールドメイトにおける宗教活動はすべてボランティアで行っており、まったくの無報酬であると明言していましたし、自身で経営する数社から得ている収入もワールドメイトの活動資金に当てており、個人蓄財は一切ないと会員の前で発言していました。ところが、このマスコミ報道では、深見東州はワールドメイトから年間3600万円の収入を得ており、また数千万円の個人蓄財があることが暴露されていました。
     これらの報道を受けて、深見東州から会員に対して釈明がありましたが、それはこれらの報道を追認するものであり、聞きようによっては開き直りとも受け取れるものでした。

    (2) その他にも、深見東州からセクハラを受けたとする元女性職員によるセクハラ裁判や、ワールドメイトを不当解雇された職員たちによる裁判、また子供の原因不明の病気が治ると深見東州に言われて数千万円ものお金をワールドメイトに献金した夫婦が6500万円の玉串返還訴訟を起こしたことが報じられていました。私は、これらの記事の内容のすべてが捏造だとは思えないが、すべてが事実であるという確信も持てませんでした。当時はまだ深見東州を信じていたので、無意識のうちに目をつぶっていたのだと思います。
     深見東州はワールドメイト内部での集会でこのセクハラ裁判について釈明し、二人の元女性職員によるセクハラ告発は村田氏の陰謀によって狂言を強いられているだけで、まったくの事実無根であると主張していました。セクハラの事実がないので、原告の女性たちは公判での証言も曖昧なもので、質問に対して言葉に詰まる場面などもあり、若い女性が村田氏の陰謀によって、法廷で虚偽の証言を強いられている姿があまりに気の毒なので、やむなく和解で決着させることにしたと説明していました。ですから、私はせいぜい50万〜100万円程度の和解金で決着したものと想像していたのです。ところが、後日、原告の女性2名に1100万円もの和解金が支払われていることを知りました。常識的に考えて、いわれなき誹謗中傷に対して、しかも証言が曖昧で明らかに立証に疑問がある原告に対して、これほど高額の和解金を支払う必要があるものなのか、私は深見東州の釈明に疑問を感じました。
     また、6500万円の玉串返還訴訟を起こした夫婦についても、深見東州や幹部はセミナーなどで、原告夫婦の人格批判を繰り返し、ワールドメイトの正当性を主張していましたが、後々、原告側に数千万円もの示談金を支払い、提訴を取り下げてもらっていたことを知りました。

    (3) さらに、1993年暮れから国税庁から査察が入り、脱税疑惑がワールドメイトにかけられました。
     ワールドメイトではエンゼル会員総動員で国税庁への抗議署名活動を展開し、全国の各支部でワールドメイトの潔白が証明されるようご祈願をしたり、抗議集会を開いたりしていました。そして、1995年7月、ワールドメイトでは、こうしたエンゼル会員の努力が実り、脱税疑惑は無実であることが証明されたと深見から会員に説明がありました。

    (乙第47号証)1995年12月1日発行「ワールドメイトスーニュ第88号P12より
     「まさにこの月の終わりの7月29日、1年7ヶ月もの間、闘い続けたマルサ、検察との脱税問題嫌疑が無事解決したことが、サンケイ新聞で報道される。修正申告も追徴税も一切取られることなく、全面的に無罪潔白であることが証明された」

    (乙第53号証)1997年12月15日発行「月刊ワールドメイト」第14号 P80

     「まず12月半ばに国税局査察部の調査が行われた。……税務問題はそれから一年半にも及ぶ調査の後、立件されることなく終わった。もともと脱税行為をしていたわけででもなく、隠し財産があるわけでもなく、不正な帳簿や不正な税理はまったくなかったのだから、全く寝耳に水の調査であった。でたらめな怪文書のたれ込み情報を、査察が信じて行った誤捜査だったことを知り、ようやく無実が証明されたのである」

     私も最近までワールドメイト側の説明をそのまま信じきっていたのですが、2002年の1月ごろ、インターネットの掲示板の情報によって、真実を知りました。
     実際には、ワールドメイトのイベント運営・グッズ販売などを行っている潟Rスモワールドに約64億円の悪質な資産隠しが見つかり、約33億円の追徴課税の決定を受けていたのです。
     当時の新聞記事などによると、ワールドメイトは宗教活動を隠れ蓑にして、海外に莫大な資産を隠匿していた疑いで摘発されたとあります。
     「宝島30」という雑誌では、ワールドメイトの隠し資産として、オーストラリアのパース市にはプールつきの豪邸が2棟あり、マリーナや豪華クルーザーまで所有している旨の記事を掲載しています。
     深見東州の説明は潟Rスモワールドのことには一言も触れず、なんらの問題もなかったように装うもので、事実と大きく食い違うものでした。私を含めて深見の言葉を信じた会員は皆、騙されていたのです。
     インターネットの掲示板でその事実を知った私は、強い怒りを感じました。
     


  2. 書き込みを行った動機
     そんな中、掲示板を見ていくと、ワールドメイトに入会はしたものの、深見東州やワールドメイトの言動に疑問や不信を感じることもあり、退会しようかどうか迷っているといった投稿が見られました。又、宗教団体であるとは知らされていなかったのに、入会したら参拝や人形等、明らかに宗教団体と判明した、騙された、という書き込みがいくつもありました。
     私が脱税の事実を知らなかったように、現役のワールドメイト会員も私が知っているような深見やワールドメイトの実態を知らずにいるのです。
     私は、私の知りえた深見東州とワールドメイトの宗教活動の一部始終をインターネットの掲示板で公開することにしました。一般会員には知らされることのなかった事実を明らかにすることで、迷っている会員の方あるいは今後勧誘を受けるかもしれない人が客観的に判断できる基本的な情報を提供しようと考えたのです。このことは、乙36の発言番号69にも記載してあるとおりです。
     そして、2002年の1月から深見東州とワールドメイトの実態を告発する投稿をはじめました。
     最初はJBBSという掲示板で投稿していましたが、2002年2月半ばにJBBSがサーバーシステムのトラブルから消失してしまったので、その後、投稿の場を2ちゃんねるに移して、深見東州とワールドメイトの宗教活動の実態を投稿してきました。

     私は投稿の中で、「名誉毀損で訴えるものなら訴えてみろ」といった発言をしていますが、それは私の投稿の目的が深見東州やワールドメイトをいたずらに貶めることではなく、深見東州やワールドメイトの実態を広く一般の人々に知らしめることにあるので、私の投稿の内容を虚偽・捏造だと否定するのなら、法廷での事実確認にも応じる意思があるという意味でのものです。それほど、私は記載した事実について責任を持って発言しています。
     ところが、ワールドメイト側は、私の記載した事実関係には一切触れることなく、瑣末な表現のみを多数取り上げ、名誉毀損で私を告訴しました。
     訴状で挙げられている程度の表現は、掲示板では慣習的に行われていることなので、私もとくに意識することなくそうした発言をしていました。逆に、私の個人名を挙げて「バカ・アホ」呼ばわりする発言も数百ヵ所以上ありますし、今現在も増えています。掲示板のなかではそれが一般的な表現なので、私自身にそうした表現が向けられるのも当然のことだと私は考えています。
     こうした掲示板での発言は、マスコミ媒体での一方的な報道などと違い、異論があればその場で訂正を求めることも削除依頼することもできます。法廷でなければ反論や警告ができないといった種類ものではありません。
     私の投稿が名誉毀損であるなら、まず2ちゃんねるに削除依頼をするのが筋ではないでしょうか。本当に社会的名誉が低下すると危惧しているのであれば、書き込みがこれ以上人の目に触れないために真っ先に削除を求めるはずです。しかし、ワールドメイト側は、私を告訴した後に、2ちゃんねるに削除依頼をしています。このことは、原告による提訴の真意が社会的名誉の低下防止や挽回にあるのではなく、私の口封じにあることを示していると考えます。
     また私は投稿のなかで、公の場で討論を行うことを深見東州に何度も提案してきました。私の投稿内容が虚偽であり、それによって深見東州やワールドメイトの社会的名誉が失墜したというのなら、公の場で討論をすればいいことです。一民間人である私が実名で投稿をし、公の場での討論に応じるリスクは小さなものではありません。しかし、そのリスクを背負った上でなお、公の場での討論を求める私の声に応えることなく、事前の警告や通告もなく、瑣末な表現のみを取り上げて、私の支払い能力を超えた4000万円もの損害賠償請求を起こしたワールドメイト側の対応に驚きと憤りを感じています。

     私の投稿は主に深見東州とワールドメイトが行っている宗教活動の実態を一般の人々に知らしめるものであり、発言のなかで一部、東州や教団につき揶揄的だと受け取られる表現があるとしても、全体として見れば公共の福祉に貢献していることは明らかなので、原告の主張する名誉毀損にはあたらないと確信しています。

     以上

注意:原則として裁判所提出の陳述書のままですが、一部、通し番号の変更やカギ括弧のつけ方の変更などで読みやすくするために編集した箇所があります。

 

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最終更新日:2005.04.07
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