陳 述 書 (前半)

平成16年3月31日 


 

根  本     栄

 


第1 S氏陳述書への反論

 平成15年11月18日付で、ワールドメイト法務副部長S氏より私の陳述書に対する反論(以下、「S氏陳述書」と呼びます)が提出されましたが、このS氏陳述書は事実を作為的に歪曲し、ワールドメイトの反社会的行為を指摘する私の人格を不当に中傷し、また詭弁によってワールドメイトのカルト的問題を隠蔽することを意図して書かれた悪質な文書です。
 以下、具体的にその根拠を述べます。


第2

  1. 「根本氏陳述書全体について」に対する反論

    (1)S氏陳述書の独善性

     S氏は私の陳述書のなかから三箇所ほどを挙げ、「これがあまりにも独善的で、自らに都合のよい主張であることは誰の目にも明らかでしょう(2頁8〜11行目)」と断じているのですが、なにがどのよう独善的なのか具体的な根拠が一言も述べられていません。ワールドメイトを批判する意見を述べただけで独善的と決め付けられては困ります。法廷とは事の理非曲直を明らかにする場なのですから、主張には具体的な根拠が必要です。私は具体的な根拠を挙げた上で立論しているのです。
     こうしたS氏の姿勢はさらに続きます。
      「しかも根本氏に言わせれば、公のインターネット掲示板で根本氏が深見教祖を『バカ』『ノータリン』等罵倒したことまで『マインドコントロールに苦しみ悩む会員の方や元会員の方の呪縛を解き放つため』だったとのことで、しかもこうした中傷を『瑣末な発言』であると自己弁護しています(S陳述書2頁11行目〜16行目)」などと私を非難していますが、私はワールドメイトから総額4767万7180円もの損害賠償請求の訴訟を起こされたのですから、自己弁護に努めるのは当然のことです。それとも深見を批判した私には陳述書を作成し、自己弁護する権利すらないというのでしょうか。

    (2)S氏の陳述書では、根本裁判の概要が正確に述べられていないので、私がここで根本裁判(東京地裁民事48部係属 平成14年(ワ)第26660号事件訴訟)の概要を整理します。
     根本裁判は、私がインターネットの掲示板で深見やワールドメイトが宗教活動と称して行ってきた数々の反社会的な言動を投稿したもの(2002年2月〜3月)に対し、ワールドメイト側が名誉毀損として提訴したものです。問題とされた私の投稿は膨大なもので、おそらく2〜3月の投稿量だけでも原稿用紙にして100枚近くの文量になると思います。
     インターネットへの投稿自体は2002年の1月中旬から初めて、ワールドメイトからの訴状が届く5月中旬まで行っていましたから、トータルでの投稿量は原稿用紙150枚分になろうかと思います。
     その膨大な投稿のなかで私の主な主張は次の三つでした。


    @ 深見がオウム真理教の麻原を賞賛し、麻原無罪説を唱えていたこと。

     かつて深見がオウム真理教(現在アレフと改称)教祖の麻原彰晃を賞賛していたこと。また地下鉄サリン事件直後に「麻原さんは無実だ」「坂本弁護士事件の真犯人は統一教会。オウムは統一教会に濡れ衣を着せられただけで冤罪だ」と発言していたこと。


    A 深見の指示による詐欺的勧誘行為

     ワールドメイトでは深見の指示によって、1996年12月から1997年9月にかけて、教勢拡大のため「世界占いフェスティバル」「ドリコメ」といった名称で手相鑑定を装った勧誘活動を行っていました。勧誘すること自体は問題ありませんが、ワールドメイトでは勧誘する際に(当時ワールドメイトが宗教法人申請中だったにもかかわらず)宗教団体と分かると警戒されるので「私たちは宗教団体ではありません」と偽って勧誘するよう深見から指示されていました。宗教法人申請中のワールドメイトが「宗教団体ではありません」などと偽って勧誘することに抵抗を覚える会員もいましたが、深見は「騙してでもいいから会員を増やせ!」と檄を飛ばし、詐欺的行為を推進していたのです。


    B 伊豆山事件というセクハラ事件の顛末

     深見が重用していた準幹部のT・H(本名 ●●●●)という男がワールドメイトの活動拠点である伊豆山元気支部において重大な性犯罪や脅迫事件に該当しかねない行為を行ったが、深見はIのこれらの行為を知りながら、当時ワールドメイト会員だった俳優の長谷川初範氏や歌手の三田明氏とトリオを組ませ、教団のスターとして教団主催の舞台に主演させたこと。Iは後日、教団から追放処分されたにもかかわらず、その事実を一般会員に秘匿し、事件を隠蔽するために教団の機関誌にIの写真を掲載していたこと。


     の3つです。
     これらの投稿内容は当然証拠として裁判所に提出していますが、重複するのでABについてはこの陳述書のなかでは述べていません。これについては後ほど、述べることにします。
     ワールドメイトは上記のような重大な事実関係についてはまったく触れず、訴訟の対象とすることなく、文章の合間に散在する「バカ」とか「ノータリン」、「深見には霊能力などない」といった細かな語句を24箇所挙げて総額5000万円近い高額訴訟を起こしてきたのです。
     私が「バカ深見」「ノータリン教祖」などと中傷したことは事実ですが、私の文章の主旨は別のところにある上、それらは全体の比率でいえば、おそらく0.0数%程度(か、それ以下?)の文量に過ぎません。そのため、私は「瑣末な発言」と述べたのです。
     もう一つ「瑣末な発言」について、述べておきたいことがあります。S氏の主張である「客観的に見て、どのような目的であっても、他者を公の場で罵倒することが正当化するはずがなく、良識あるいい年をした大人の発言とは思えません」という言葉がワールドメイトの見解であるというのなら、深見の暴言の数々はどうなるのかという問題です。
     私の6年間の会員時代に見聞した範囲でも他の宗教家や部下へ対する深見の罵詈雑言はひどいものでした。幸福の科学の教祖大川隆法のことを「醜い顔」、阿含宗の桐山靖雄のことを「眼が釣り上がった蛇顔」、創価学会の池田大作を「デブ」(現在は深見自らが同じような体型になったので発言していないらしい)、統一教会の文鮮明を指して「死後、2万年地獄に落ちる」、あるいは「坂本弁護士事件の真犯人は統一教会」などと名指ししたこともありましたし、またわざわざ衆人環視のなかで部下のことを「バカN!」「バカF!(F氏は女性の幹部スタッフです)」などと吊るし上げて罵倒することさえありました。私の知る限り、暴言家の深見が例外的に賞賛した宗教家がオウム真理教の麻原と立正佼成会の庭野日敬氏でした。
     これら深見の暴言は私の中傷発言と比較してもはるかに常軌を逸しています。私の深見に対する中傷が約5000万円もの損害賠償の対象になるのなら、深見のこうした暴言の数々はワールドメイトの見識においてどのように位置づけられるものでしょうか?是非、S氏の見解を伺いたいと思います。



     さて、通常、名誉毀損とは社会的評価を低下させる発言を指しますから、名誉毀損の損害賠償請求訴訟では外部的名誉(社会的名誉)の毀損の違法性が問われるのが普通です。
     ところが根本事件において、ワールドメイトが問題として取り上げた文言のほとんどは名誉感情の毀損でした。これはおかしなことです。自称宗教団体のワールドメイトにとって、より重要なのは、バカとかノータリンではなく、深見の麻原無罪発言や「騙して会員増やせ!」発言の真実であることは言うまでもありません。これらがもし私の悪意による捏造であれば、民事訴訟の提起や刑事告訴の対象になるのもやむを得ないかもしれません。それにもかかわらず、ワールドメイトはなぜ私の投稿の外部的名誉毀損を問わなかったのでしょうか? 答えは簡単です。それは私の投稿が真実だからです。それらの発言について名誉毀損で提訴すれば、法廷で私の投稿の真実性が確定するので、あえてそれを避け、膨大な投稿のなかから僅かな侮蔑的語句のみを取り上げて高額訴訟を提訴したのです。
     それによって私に経済的・精神的苦痛を与え、批判活動を萎縮させることがワールドメイトの目的だったのです。ワールドメイトの提訴は名誉毀損の損害賠償として起されたのではなく、日本の法制度を悪用して、批判者を圧力をかける目的で行われたというのが真実です。
     事実、名誉毀損を問題視するのであれば、まず最初にインターネットの掲示板に発言の削除を求めるのが常識です。そうでなければ、問題の発言がより多くの人の目に晒されることになるからです。しかしワールドメイトはそうはしませんでした。
     ワールドメイトが静岡地裁沼津支部から私を提訴したのが2002年の4月26日ですが、ワールドメイトが顧問弁護士を通じてインターネット掲示板管理者に発言の削除を求めたのが、なんと3ヶ月以上経過した2002年7月中旬以降のことです。しかも掲示板の管理者がワールドメイト側の削除依頼を無視しているので、問題とされる発言は今もって掲示板に掲載されており、誰でも閲覧ができる状態ですが、ワールドメイトはそれに対し何ら具体的な措置を取っていません。
     S氏が主張するように、「どのような目的であっても、他者を公の場で罵倒することが正当化されるはずがない」のであれば、顧問弁護士を通じて削除依頼をしているにもかかわらず投稿を削除しない掲示板の管理者もまた同罪であり、断固とした態度で臨むべきもののはずですが、私には高額訴訟を起しておきながら、掲示板の管理責任は一切問わないというこの不合理をどう理解すればいいのでしょうか? 
     このようなワールドメイトの言行不一致を見れば、提訴の目的が名誉毀損の回復にあるのでなく、ワールドメイト批判者である私の口を封じることにあったことが明白です。
     ワールドメイトがなぜそうまでして私の口を封じたかったかというと、少数とはいえ私の投稿を読んだ人々が増えていくにつれ、その影響が無視できなくなってきたということだと私は考えています。
     私がインターネットで上記の内容の投稿をはじめるとそれなりの反響がありました。自称「世界一の霊能者」「三百種類以上の秘法を使いこなす大神人(だいしんじん 神の如き人)」「三千年に一人の大神人」等々、大言壮言している深見が、オウムの麻原を賞賛したうえ、地下鉄サリン事件でも「麻原さんは無実」などと発言していることを私が明らかにしたからです。
     私は、深見に霊能力がないことを白日の下に晒したのです。
     また、教養ある文化人を謳った深見が教勢拡大のために「騙してでもいいから会員を増やせ!」などと檄を飛ばしていたことも、インターネットを閲覧しているワールドメイトの会員や元会員に衝撃を与えたようです。私は一般の会員が知らない深見の真の姿を公にしたのです。
     しかし、その一方で私の投稿に対する反発もありました。ワールドメイトの熱心な会員は「根本の投稿は悪質な捏造だ」と攻撃してきたのです。私はそれに対し、「嘘だと思うならワールドメイトの本部に電話して確認してみろ。ワールドメイトの本部がおれの投稿を嘘だというなら、裁判でもなんでも受けて立ってやる」と返しました。そして実際に、ワールドメイトの本部へ電話で問い合わせた者もいたようですが、その結果をインターネットで報告する信者は一人もいませんでした。
     ワールドメイトの活動実態を告発する私の存在は、ワールドメイトにとって目の上のタンコブだったのでしょう。ワールドメイトは事前の警告や通告などを一切することなく、いきなり私に対し約5000万円の高額訴訟を起してきました。
     ところが私は意外な行動に出ました。私が訴状を受け取ったその日、2002年5月18日にすぐさまワールドメイトから高額訴訟を起された事実を実名でインターネット掲示板で公表したのです。
     その反響は凄まじいものでした。
     「バカアホ発言」で4700万? しかも宗教団体が? インターネット掲示板にはワールドメイトを非難する投稿が相次ぎました。この事件を知って、ワールドメイトを退会した人は1000人以上にのぼるという人もいます。
     以下、事件を知った人たちの投稿をインターネット掲示板から引用します。

     ワールドメイト本家スレッド10
    http://life.2ch.net/psy/kako/1019/10194/1019463635.html より
     

    624 名前: 深見先生・・・ 投稿日: 02/05/20 19:38

    私も先生のお気持ちが知りたいです。
    こんな弱いものいじめをする様な行為・・・・
    WMから益々心が離れて行きます。悲しいです。


    625 名前: 名無しさん@1周年 投稿日: 02/05/20 19:45

    4700万円という数字の大きさで相手をびびらせようというやり方を
    見ていると、これはとても「神人」からはもっとも対極にある
    「俗物」のやり口としか思えんね。
    宗教家として、神様のお取り次ぎとしての自分の立場を解っていない。
    会員さん達の多くは今回の訴訟の一件を知ることによって、
    みんなガックリくることだろう。
    失望を通り越して、絶望的だな。。。
    ワールドメイトには未来はないね。
    俺だってこんな教祖は尊敬出来んし、入会して今まで数年間、
    多くの時間と金をドブに捨てたとの想いでホンマ情けないわ。
    だがな、このままおとなしく退会するだけじゃ能がないからな。
    なるべく沢山の一般会員にこの話を広めたるわ。
    やめるやめないは個人の自由かも知れんがな、
    もうおしまいや、ワールドメイトは。



    679 名前: 名無しさん@1周年 投稿日: 02/05/21 01:09

    おいおいおいおい!
    冗談じゃねえよっ!!

    根本氏への訴訟の話、
    俺たち一般会員にいったいどういう説明をするつもりなんだい?
    またまた会員には知らせずに事をすすめようっていうのか??
    いい加減にしてもらいたいよなあ、ええ?

    深見先生って、宗教家じゃなかたっけ?
    神様のお取り次ぎじゃなかったっけ?

    やっぱり神仕組みの担い手じゃあなかったんだな?
    神様が味方してくれないから、告訴したんだろ?
    神様がそんなこと許すはずないもんな。

    今回の告訴は絶対に大失敗に終わるだろうな。
    深見先生は一般会員達の気持ちなんて
    これっぽっちもわからないんだろう・・・。
    あああ、情けないねえ、こんな人が教祖だったなんて。
    信じてついていった自分が馬鹿だったんだなあ。

    これ、教団にとってもものすごいイメージダウンだぜ!
    こんな教団に、これから新しく入りたいなんて人間が
    いるわけないよ。

    ホントにバカなことしたもんだよなあ、深見先生は。
    とりあえず、俺とその周りはみんな退会するよ。
    今後は支部まるごと退会するところも出てくるだろうな。



    698 名前: 名無しさん@1周年 投稿日: 02/05/22 00:24

    会員歴は10年近くになります一般会員です。
    知り合いから教えてもらってこの2ちゃんねるの掲示板を見ています。
    私のような普通の会員には知らされずに、いままでもずいぶんとひどいことが行われてきたのですね。
    特に最近の、元会員の根本さんという方がおよそ5000万円近い
    法外な損害賠償を請求されたという一件、
    きょう一日かけて、この掲示板をじっくりと読んで参りましたが、
    やはりもともと悪いのは教団側、というか要するに深見先生が間違っているという結論に達しました。
    このような訴訟は「神人」のやるべきことではありません。
    何でまたこのような、名誉毀損で訴訟等という低次元なやり方しか
    出来なかったのでしょうか?
    本当の神様が降りている教団とは思えませんね。

    今後、私たち末端の会員にも、正式な説明がなされるのでしょうか?
    このまま一般の会員は無視、というようなことはありませんよね?
    もしそのようなやり方をなさるのでしたら、私は周りの会員さん達と
    力を合わせて、抗議行動を開始致します。

    教祖が間違っていたら、会員にも文句を言う権利はあるはずです。
    会員の声を無視し続けるようでしたら教祖失格ですよ。
    すみやかに教祖を辞任して、教団も解散して下さい。
    そうでなくちゃ、私たち一般会員まで世間から笑い物にされてしまいますよ。

    深見先生は間違っています。
    1日もはやく改心して、告訴を取り下げて下さい。
    そうしないと、これから会員達の間で大変なことが起こりますよ



    727 名前: 会員2年生 投稿日: 02/05/22 23:39

    会員になってからまだ日が浅いのですが、
    正直いってとんでもないところに踏み込んでしまったなと後悔しています。
    この掲示板のことは支部の皆さんから聞きました。
    私だけじゃなく、沢山の会員さん達が今回の根本氏訴訟事件に怒りと落胆をおぼえています。エンゼル会員さん達のなかにも、深見先生を批判する声が高まりつつあると聞きました。
    未だに教団としての公式メッセージはないみたいで、まだこの話を知らない会員さん達も多いようですが、やはり今はインターネットの時代、多くの会員さん達に情報が行き渡るのも時間の問題でしょう。
    残念なことですが、私は退会します。
    周りにも退会しようというムードが高まってきています。

    どこをどう考えてみても、今回の根本氏に対する訴訟は納得できません。
    もともと批判されるようなことを繰り返してきたのは教祖であり、また
    教団側であったのですから。

    それから、弘道布教部の人達がぜんじとか高木ブラフマン等という名前でこの掲示板の品位を著しく下落させている事も許し難いと思います。
    これもみな教祖のさしがねでしょうか?

    ワールドメイトと深見先生の事が全く信じられなくなったので、退会させて頂きます。
    また、周りの会員さん達にも説明して、このような団体とは一切拘わらないように呼びかけます。
     

     これらは本当にたくさんある投稿のごく一部ですが、一般的な意見だと思います。逆にワールドメイト側を擁護するような投稿はほとんど見当たりません。
     これらを見てわかるように、根本事件はただ私とワールドメイトだけの問題ではなく、多くの人の関心事となっているのです。
     そしてその関心はさらに根本裁判の行方、私の投稿の真実性に向けられていきました。 
     ワールドメイトの熱心な会員はまだ一縷の望みを抱いていたようです。根本の投稿の虚偽性が法廷で明らかにされるのではないか、という期待をです。逆にワールドメイトを批判する立場の人たちは一縷の不安を抱いていました。根本の投稿が捏造だとは思えないが、あるいは高額訴訟という重圧から逃れるためにワールドメイトに心ない謝罪をしてしまうのではないか・・・。
     2003年の10月7日、私とワールドメイトの間で和解が成立しましたが、私より先にワールドメイト側が根本事件の和解について(但しN氏につきましては、公式の謝罪を受けて和解いたしました。)と発表していたので、私がどのような謝罪をしたのかが、話題になっていました。ひょっとしたら根本はワールドメイトの恫喝に屈して告発した事実の数々を虚偽だと認めて謝罪したのではないか、などとあらぬ誤解をする人も出てきました。それだけ根本裁判の行方は、ワールドメイト会員と批判者にとって大きな関心事だったのです。そのため、私は侮蔑的表現の謝罪のみで和解したことをインターネット掲示板で報告したのです。
     私が投稿したインターネット掲示板の記録はすでに消失しているので、同じ内容の文章をここに引用します。

     いやいや、久々に掲示板見たら、和解の件がすでにワールドメイト側から発表されていたんですねえ。
     なぜ、私の方から今まで報告しなかったかというと、最近、掲示板をあまり見てなかったことと、和解交渉は紀藤・弘中先生にお任せしていたので、実際の和解調書を見たのは私自身今日が始めてなんですよ。(今日郵送でコピーが届いた)
     もちろん事前に和解案の提示があり、私が確認した上で両先生に和解交渉に入っていただいたのですが、最終的な調書の内容を確認できるまで書き込みできなかったわけです。
     以下、和解条項の全文です。

     和解条項
    1. 被告は、平成14年2月24日から同年3月26日にかけて、インターネット「2ちゃんねる」及び「スナサル」の掲示板に、「深見はノータリン教祖である」、「深見のバカ東州」、「深見のやってることはゴキブリ以下だ! 人間のクズだ!ヤクザと一緒じゃねえか!」とか「バカワールドメイト」とか書き込み、侮蔑的な表現によって原告らの名誉感情を害したことを認め、ここに謝罪する。
       
    2. 被告は、今後、原告らの名誉などを不当に侵害するこのないよう十分に配慮する。
       
    3. 原告らは、第1項記載の被告の謝罪及び前項記載の誓約を了として、被告の第1項記載の行為に対する金銭賠償を求めないものとする。
       
    4. 原告らは、その余の本件請求を放棄する。
       
    5. 原告らと被告は、原告らと被告との間において、本件につき、本和解条項に定めるもののほか、何ら債権債務が存在しないことを確認する。
       
    6. 訴訟費用は各自の負担とする。

       以上

       

     見ての通り、「バカ」「ノータリン」発言について謝罪しています。「ゴキブリ、クズ、ヤクザ」については微妙でしたが、相手がそれによって感情を害したというなら、私の主観が100%正しいとも断言し切れないので、まあ、謝罪してもいいかなと考えました。
     ちなみにこの和解条項は裁判所から提案された第2案です。第1案では「カルト」発言も含まれていましたが、謝罪する必要を認めなかったので和解を拒否しました。
     そしてできたのがこの和解条項です。
     これでWM側も和解してるんだから、私のカキコは侮蔑的表現以外には問題がないということですね。
     人それぞれ考え方はあるでしょうが、私は別に「バカ深見」とか「ノータリン教祖」なんてこと主張したかったわけではありません。そんなことは枝葉末節であって、どうでもいいことです。私自身はこの掲示板でなされているような、まともな議論(でもないか?)を求めていたんですが、まあ、当時は場所が2ちゃんしかなかったんで、自然、私も煽り口調になっちゃいましてねえ(笑
     以前、大島渚が「朝まで生テレビ」で「バカヤロー」と発言して物議を醸しましたが、たしかに「バカ」だの「ノータリン」じゃまともな議論にはならないですわね。
     私は深見との公開討論を望んでいますが、それが実現したとして「バカとはなんだ、失礼じゃないか! 謝れ!」と深見がいうなら、「正直、スマンカッタ」と佐々木健介のように謝るのが大人の態度だと思います。
     私の主たる主張は、2ちゃんに書いたとおり、「麻原無罪発言」「ドリコメの顛末」「伊豆山事件」など、深見やワールドメイトの非常識な言動についての批判です。
     ただし、私は深見やワールドメイトの失敗や間違いをなじるつもりはありません。
     完璧な人間が存在しない以上、間違いや失敗のない人間はありえないのですから。
     麻原は無罪じゃなかった、深見のサニワが間違っていた。ドリコメを精一杯やったが大失敗に終わった、深見の見識不足だった、力不足だった。
     失敗は誰にでもあるし、間違いは誰にでもある。それは人間である以上、仕方のないことでしょう。問題は、その後の態度だと私は思う。
     「麻原無罪発言」「ドリコメの顛末」「伊豆山事件」といった深見の誤謬が明らかになった後でも、深見からは自らの非を認め、過ちを反省し、謝罪する言葉は一切ありませんでした。ただひたすら自らの失態を誤魔化し、問題をすり替え、うやむやにする姿勢しか見られませんでした。私が深見に対してもっとも失望し、もっとも批判したかったのはその点です。
     その私が自らの非を認めないのでは筋が通りません。謝罪すべきところは謝罪し、主張すべきところは主張したということです。


     この和解報告についてS氏は「WM側も和解しているんだから、私のカキコは侮蔑的表現以外には問題がないということ」「私は別に『バカ深見』とか『ノータリン教祖』なんてことを主張したかったわけではありません。そんなことは枝葉末節であって、どうでもいいことです」の2点を挙げ、「自己弁護を始めています」などと非難しています。

     「WM側も和解しているんだから、私のカキコは侮蔑的表現以外には問題がないこと」というのは、先述したとおり、根本裁判への関心は、主に私の投稿の真実性についてであったため、和解に際して投稿の真実性についてワールドメイト側は一切問題にせず、また私も投稿の真実性については主張を崩さなかったことをあらためて報告したものです。 
     「私は別に『バカ深見』とか『ノータリン教祖』なんてことを主張したかったわけではありません。そんなことは枝葉末節であって、どうでもいいことです」についても、先に述べていますが、私の「バカアホ」発言は全体の投稿量からするとほんの微々たるものですし、私の発言の主旨ではありません。この和解報告でも述べているように、私の主たる主張は「麻原無罪発言」「ドリコメの顛末」「伊豆山事件」など深見やワールドメイトの反社会的行動の告発にあるので、その事実を正直に述べたまでです。この発言のどこが自己弁護なのでしょうか? 
     それにしても、S氏の主張は支離滅裂です。
     先に、私の陳述書を取り上げ、アホバカ発言を「瑣末な発言」と述べていることを「自己弁護」(2頁16行目)と非難しているのに、今度は和解報告の同じ内容の文章を取り上げ、「訴訟が終結したから自己弁護に走っている」「その場しのぎ」などと非難しています。私が陳述書の段階で「自己弁護」していることを指摘しておきながら、「訴訟が終結したから自己弁護に走っている」とするのは矛盾しているではありませんか。私は、訴訟係属中に作成した陳述書の段階から、訴訟後に行った和解報告と同様の主張を述べているのですから、私の主張が首尾一貫しているのは明らかです。S氏の陳述書は、私の発言や陳述書を非難する気持ちが先走る余りに、矛盾した内容となってしまっているのです。
     しかもS氏はそれ以外にも、事実を歪曲したうえ、私の人格を不当に中傷し、貶める発言しています。私はS氏の次の発言が絶対に許せません。

     「訴訟を終わらせるために誠意のない謝罪を行い、訴訟が終結したから自己弁護に走っている」

    「根本氏の発言・文書・謝罪等に総じて誠意がなく、その場しのぎであったことが明らか」

     「根本氏の発言内容や陳述書が、そのまま信用できないことは、この一例をもってしても明らか」



     S氏によると、あたかも私が訴訟を早期に終わらせたがっており、そのために誠意のない謝罪を行ったかのようですが、私は、訴訟を早期に終わらせるために不誠実な対応をしたことなど全くありませんでした。
     ワールドメイトが静岡地裁沼津支部から私を提訴したのが、2002年4月26日であり、私が訴状を受け取ったのが同5月18日です。しかし、ワールドメイトの事実上の本部機能は東京都杉並区にあり、また原告の深見と栂村繁朗も住民票は静岡に移しているものの居住実態はなく、東京都内に自宅があることを知っていましたので、私は東京地裁への移送申立てを行い、同年11月15日に東京地裁への移送を認める決定が出ました。東京地裁で弁論手続が開始されたのは翌2003年2月に入ってからでした。
     また、2002年5月20日に行われた第2回口頭弁論期日で裁判長から和解勧告が出されましたが、この段階で私はまだ陳述書を提出していませんでした。私は投稿の真実性だけは裁判で主張したかったので、裁判長に陳述書を提出してた後に、和解交渉に入りたい旨を申し出ました。そして私が陳述書と被告側和解案を提出したのが同年6月25日です。
    私の陳述書が提出された後、和解交渉に入り、7月24日付けで裁判長から和解第1案が提示されました。しかし、第1案はワールドメイト側に偏ったものなので、私はこの和解案を拒絶しました。


     裁判所提案の第1案の和解条項案(7月24日付け)

    1. 被告は、平成14年2月24日から同年3月26日にかけて、インターネット「2ちゃんねる」及び「スナサル」の掲示板に、「深見のバカ東州」とか「ワールドメイトっていうのは、・・・・・・カルト教団なんだよ」とか、「深見のやってることはゴキブリ以下だ!人間のクズだ!ヤクザと一緒じゃねえか!」とか、「反社会的な行為を平然とやってのけるノータリン教祖」などと書き込み、結果として表現の自由を逸脱し、原告らの名誉感情を害したことを認め、ここに謝罪する。

       (以下同文)

     私はワールドメイトの反社会的な言動の数々を知っていますから、ワールドメイトが宗教団体ではなくカルト団体であると認識しています。ワールドメイトが「騙してでもいいから会員を増やせ!」といった詐欺的勧誘を行っているのですから、反社会的行為を平然と行っていることは事実です。真実を述べている私がワールドメイトに謝罪する理由などどこにもありません。
     しかし現実に、ここで裁判長提案による和解を拒否すれば、和解決裂となり、弁論に戻る可能性もありました。もし弁論に入れば、裁判は長期化しますし、敗訴する可能性も出てきます。ですから、和解を拒否するのは私にとっては大変なリスクがありましたが、どうしても和解第1案には納得できないので、和解を拒否したのです。そして私は裁判長に、私の主張を盛り込んだ和解案に変更していただくよう申し入れたのです。結果、ほぼ被告側和解案にそった和解第2案が裁判長から提示されました。
     これは私の提案による和解案に近いものだったので、私は和解に応じました。原告側には被告側和解案は開示されていないかと思いますが、和解第2案はほぼ私が作成した和解案に沿ったものです。ですから、私は和解に応じたのです。こうして、10月7日に和解が成立しました。
     以上の経緯については私の訴訟代理人である紀藤正樹弁護士が自らのホームページでその事情を解説していますので、引用します。
     

    UP03/11/12

    ワールドメイトの詭弁性−根本さん事件とプシコ事件の和解報告

     既にワールドメイト掲示板に、根本さんが報告しているとおり、根本さんの件について、10月7日、ワールドメイト側と東京地裁で和解しました。


     根本さんの報告にもあるとおり、裁判所の第1回目の提案にあった「ワールドメイトっていうのは、・・・・・・カルト教団なんだよ」「反社会的な行為を平然とやってのける」という文章は、最終的な和解からは省かれています。
     これは根本さんが断固として拒否したからです。「邪教判決」が既に出されている以上、当然の結果だと思います。


     ワールドメイト側も、裁判所案を後退させてまで、本和解を締結したのは、評価の背後にある真実が確定されることを恐れた結果だと思われます。近くこの点は、詳細に報告する予定としています。


     また和解条項からも明らかですが、根本さんは、ワールドメイトや半田晴久(=深見東州)氏の名誉感情を害したということは認めていますが、通常、名誉毀損事件で争われるワールドメイトや半田晴久(=深見東州)氏の外部的名誉(社会的評価)を毀損したことは認めていません。
     同時にワールドメイトや半田晴久(=深見東州)氏が過去やってきた事実が、この和解で否定されたわけではありません。

     http://homepage1.nifty.com/kito/wm-info.htm#031112より

     これらの事実を見れば、私は裁判を早期に終わらせるために不誠実な対応をしたことなど全くないことが分かります。
     S氏は、「当教団もそれ以上事を荒立てず和解した」などと、恩を着せるような発言をしていますが、事実は紀藤弁護士が述べているように「評価の背後にある真実が確定されることを恐れた結果」に過ぎないと思われます。すなわち、私の立場を慮ったのではなく、私の投稿や陳述書の真実性が確立されないように和解することを「事を荒立てず」と言っているだけなのです。
     そもそも一市民を相手に5000万円もの訴訟を起しておいて「事を荒立てず」などとは到底評価できないことは明らかです。


     S氏は、「根本氏の発言内容や陳述書が、そのまま信用できないことは、この一例をもってしても明らか」などと述べますが、その「一例」が全く事実に反することは、以上述べたとおりです。S氏はワールドメイトの法務副部長であり、根本事件の経緯を直接・間接に知る立場にあります。裁判の明らかな事実をねじまげてまで私の人格を不当に中傷し、反社会的行為の数々を隠蔽しようとするS氏及びワールドメイトの姿勢に強い憤りを覚えます。
     


  2. 「根本氏が『3千年の神仕組』『3千年に1度の大神人』等の語句を、誤用もしくは悪用していること」への反論


    (1)「『3千年の神仕組』の定義について」への反論

     S氏は、「3千年の神仕組」がワールドメイトの基本思想であるという私の指摘を認めていますが、私が深見の破滅的な予言の数々を終末予言と表現したことに対し、「当教団を弾劾したいが為に、その場その場で当教団の発言を断章取義して批判の材料としているに過ぎません」などと、またしても具体的な根拠を明らかにせず、独善的に断じています。
     S氏の断定の唯一の根拠というのが「3千年の神仕組」の定義が「神様が21世紀の中盤頃までに、世界の国々すべてに連邦制によるゆるやかな一つの政体にまとめ、以て過酷な戦乱のない世の中にして行こう……と計画されている」(S氏陳述書3頁下から12行目から10行目)という説示です。
     S氏はこのたった数行の説示だけを根拠にして、「このように、『3千年の神仕組』という『反・終末思想』の教えが当教団にあることを、根本氏は明らかに知っていながら、一方で根本氏陳述書の後半では、当教団が終末思想や終末論を説いている。根本氏の主張は全く矛盾している(3頁下から3行目から4頁上から1行目)」などと反論をしています。
      しかし、私はワールドメイトの機関誌から深見の終末予言の実例を多数挙げ、根拠を明らかにした上でコスモメイトの霊感商法からワールドメイトの終末予言商法への転換を次のように指摘しているのです。
     

     深見の終末予言商法が始まったのは1995年の節分からですが、その背景には1994年5月に元信者夫妻や元信者から提訴された2件の霊感商法裁判があると私は思います。
     原告の元信者夫妻は原因不明の病気で苦しむ子供のことを深見に相談したところ、深見は「この子の前世は殿さま、父親は家老、母親は勘定役で、親子で三千人を殺している。その倍の人を救わないと救済されない」と言い、一人七百万円を払って“救霊師”となって奉仕活動をするように求めたといいます。夫妻は、その金をつくるために世田谷区にあった当時の自宅を売却し、また父親に「八年で寿命切れます」などとさらなる脅しを行い、総額で6千万円以上の献金をさせたことが各マスコミで報道されています。
     この裁判は、ワールドメイト側が数千万円の和解金を原告夫妻に支払い、提訴を取り下げてもらうことで決着しています。
     これらの霊感商法裁判とマスコミ報道によって深見青山とコスモメイトの悪行が広く社会に知られてしまったため、その後、深見青山は深見東州に通称名を変更し、また団体名も半年の間にコスモメイト→パワフルコスモメイト→ワールドメイトと二度も名称を変更しています。
     必然的に個人相談者への霊的な脅しと救済名目による献金の強要というワールドメイトの霊感商法も方向転換せざるをえなくなり、個人への脅しから日本全体の「戦争」「地震」「沈没」といった終末予言と救国名目神事への参加による献金強要というシステムへとシフトさせていったのは明らかです。
     個人に「八年で寿命切れます」などと言って金員を徴収すれば悪質な霊感商法になってしまいますが、「北朝鮮が日本に攻めてきて50万人が死ぬ」「火山が爆発して、首都機能が麻痺して、日本が沈没する」などと言って、救国名目の行事を行い金員を徴収するぶんには霊感商法にあたるまい、と。
     このように言うと深見らは「私たちは日本のため世界のため神様のため、誠心誠意、真摯な態度で宗教活動を行っている」と反論するかもしれませんが、これまで見たように、深見発言の一貫性のなさ、発言がコロコロ変わる変節ぶり、出す予言・出す予言、悉く外れているにもかかわらず(麻原を賞賛するような墓穴を掘っている)懲りもせずさらに予言を乱発してやまない厚顔ぶり、その深見を「宗教史を塗り替える大神人」などと言って憚らない傍若無人ぶり、これらが本当に真摯な宗教活動と言えるでしょうか。
     もし深見が「私は、麻原彰晃のことを『力強い宗教家になる』と予言しました。坂本弁護士事件も地下鉄サリン事件もオウムの犯行ではない、麻原さんは無実だ、と発言しました。村山元総理のことを『政治で世界をリードする真に素晴らしい政治家』と予言しました。1994年の12月「伊勢神事が大成功だったので、『1995年は素晴らしい年になる』と予言しましたが、阪神大震災や地下鉄サリン事件が起きました。1996年10月に新進党が大躍進すると予言しましたが、新進党は1年あまりで解党しました。平成10年暮れから日本の猛反撃が始まるとも予言しました。1997年、『3年後には香港経済は今の三分の一ぐらいに衰退している』と予言しましたが、まったく外れました。……このようにこれまでの私の予言やご神示はすべて外れています。しかし、私は誠心誠意、全身全霊、日本の繁栄とみなさんの幸せを祈祷・祈念いたしますので、是非、ワールドメイトの神事に参加してください」と信者に呼びかけ、信者もこれらの前提事実に納得した上で参加し、神事が行われるのなら何ら問題はないと思います。
     深見らの宗教活動が営利目的ではなく、真に宗教的理念に基づいたものであるなら、本来そうあるべきでしょう。 
     しかし現実に、深見が自らの予言がすべて外れている事実を信者の前で認めてしまったら、ワールドメイト神事の参加者は激減し、信者はそのほとんどがやめてしまうでしょう。
     だから実際には、深見らにとって都合の悪い事実は意図的に信者から隠蔽し、さも深見が行った予言や神事が当たっていたかのように装い、今なお、「中国が奇襲をかけてくる」などと信者に脅しをかけ、「戦争を未然に防ぐための神事」なるものを行っては信者から金員を徴収しているのです。
     虚心坦懐に深見らの活動を眺めてみれば、それが利他的な宗教的理念によって行われているのではなく、よく多くの収益をあげる営利目的で行われているものと判断せざるをえません。(根本陳述書 45頁下から12行目〜47頁上から12行目)

     ワールドメイトではハルマゲドンや人類の滅亡などの終末予言を多数行い、このままいけば地球規模の大破局が訪れるのは不可避ではあるが、深見東州という史上稀に見るメシアを信仰し、ワールドメイト主催の行事に(有料で)参加すれば災害を避けることができるという新種の霊感商法を行っていると私は主張しているのです。

     たとえば「怨念霊のたたり」「前世の悪業の報い」「先祖の業」など霊的な障害で、「このままでは3年後に家が火事で全焼する」、「ガンになる」、「交通事故に遭う」、「家族に不幸がある」、「八年で寿命切れます」などと脅しを行い、しかし――「除霊を受ければ救われる」、「奉仕活動をすれば罪が許される」と、さも救済の手を差し伸べるかのように見せかけ、多額の金員を徴収しようという営業戦略が霊感商法です。
     しかし1994年に、元会員から霊感商法で2件の提訴を受け、それぞれ数千万の和解金を支払い、またマスコミから社会的非難を受けて、多数の脱会者を出して大打撃を受けた深見は学習をしたのです。
     こんどは「世の終わり」「戦争」「地震」「日本沈没」のような終末予言・ハルマゲドン思想を駆使して、会員を脅しては大規模な行事を開催して、不安心理に乗じて金員を徴収する戦略へ変更したのです。
     私がこの確信をさらに深めたのは、2003年7月29日に東京地裁で行われた、平成14年(ワ)第6088号事件の深見本人の証人尋問を傍聴したときです。
     

    深見氏の証人尋問記録より

    新潮社岡田弁護士

    (乙第12号証ー録音テープの反訳書、を示す)
     荻窪税務署長の裁判で、録音テープが証拠に出ていますね。

    半田証人

     はい。

    岡田弁護士

     あなたのほうの陳述書を拝見すると、これはずたずたに編集されているくだりがあるんですけれども、録音テープは反訳書のほかに本物自体も証拠として出たでしょう。書面に書いただけだと本当にそういう発言をしているか確認できないからと、テープそのものも証拠として出ているんですよ。あなたはそれを本当にお聞きになったのですか。

    半田証人

     いや、それはもう改ざんしてるところがたくさんあるし、改ざんしてないっていう証拠のとこは、そのままのとこ出してますから。だから、全部翻訳してこちらもありますから、実物が。

    岡田弁護士

     改ざんしているかどうかは別として、19ページ目の下から2段落目の「不安産業というのは、みんな利益が上がりますね。まあ、『霊障だー』とか、『受験で困る』とかね、『今売らなければつぶれますよ』といって在庫品処分とかね。もの凄くもうかりますね。」、こういう発言をした事実はあるんですね。

    半田証人

     いや、記憶にありません。

    岡田弁護士

     この録音テープは、あなたの声が吹き込まれたものではないという趣旨ですか。

    半田証人

     記憶にありません。そのテープを聞いてもないし、私はそんなこというつもりありませんし、言った覚えもありません。

    岡田弁護士

     あなたは、宗教というのは客商売と考えますか。

    半田証人

     とんでもないことをおっしゃる弁護士ですね。全くそういうこと考えません。

    岡田弁護士

     宗教を客商売であるというふうに、あなたは語ったことはありますか。

    半田証人

    お茶ではお客様というふうに言うし、亭主と言いますから、お客様のように大事に扱わなきゃいけないということは当然お茶でも使う言葉ですから。

    岡田弁護士

     そうすると、客商売と語ったことがあるということ。

    半田証人

    ありません。客商売ではありません。

    岡田弁護士

     乙12号証の28ページに、半田晴久という答えのすぐ下に、「宗教も学問も講義も客商売と思えばよい。真理なんかどうでもいいんですよ。真理なんかどうでもいいの、あれは。客商売でウケて感動してればいいんですよ。」というくだりが、あなたの発言として記述されていますね。

    半田証人

     記憶にありません。全くありません。

     「不安産業というのは、みんな利益が上がりますね。まあ、『霊障だー』とか、『受験で困る』とかね、『今売らなければつぶれますよ』といって在庫品処分とかね。もの凄く儲かりますね。」という深見(半田)発言。
     「宗教も学問も講義も客商売と思えばよい。真理なんかどうでもいいんですよ。真理なんかどうでもいいの、あれは。客商売でウケて感動してればいいんですよ。」という深見発言。
     これらの深見(半田晴久)発言の肉声テープが荻窪税務署と係争中の裁判で証拠提出されている事実を知りました。
     この「不安産業はものすごく儲かる」「宗教も学問も講義も客商売」という深見発言と、ワールドメイトが深見による終末予言・ハルマゲドン予言によって年間数十億円もの売上げをあげている事実とを照らし合わせてみれば、ワールドメイトの活動が純粋な宗教活動ではなく深見の不安産業マーケティングに則った営利活動であることが自然と了解されます。


     S氏の主張する、「いわゆる『終末思想』な、『世の終わり』や『最後の審判』などを謳う教団とは一線を画するばかりか、正反対のところにいるのが当教団なのです。人類の滅亡や世の終わりなどという『終末思想』に対する一大アンチテーゼにこそ、当教団の宗教史的な存在意義があるといっても過言ではありません(S氏陳述書4頁上から11行目から14行目)」というのも、開き直って、ワールドメイトの終末予言商法を正当化しているだけのことです。戦争や災害などの悪質な終末予言で脅しをかけておいて、深見の霊力でそれらを未然に防ぐことがワールドメイトの宗教史的な存在意義なのだそうですが、要は終末予言を悪用して金儲けをすることにワールドメイトの問題があるわけです。


     この点はワールドメイトという団体の問題点を知るうえで大変に重要な点なので、以下さらに具体的に指摘します。以下の事実からすると、S氏陳述書の「いわゆる『終末思想』な、『世の終わり』や『最後の審判』などを謳う教団とは一線を画する」という記述がいかに真っ赤な嘘であるかが明白になります。


     私は陳述書のなかで以下のような深見の終末予言を紹介しました。
     

    1995年
    1997年2月
        10月
    1998年
    1999年   
    北朝鮮が日本に軍事侵攻し、「50万人が命を落とす」「日本の国が滅んでしまう」
    箱根の神山と富士山が噴火し、首都機能が麻痺し、国家予算が破綻する。
    1998年から日本が沈没し国土の90%が水没する。
    1999年 内閣がリコールされ、国が乗っ取られる事態に陥る。
    国際的な謀略によって、大東亜戦争の頃のように想像もつかない悲劇が待ち受けている。

     しかし、深見の終末予言はこれだけではありません。
     

     「そして、昨年6月の「神力示現 鹿島海原びらき大神事にて、「このままいけば8年後(2004年頃)に、中東を火種とした争いが世界に波及し、世界大戦になる。それが、ハルマゲドンの真の意味である」…ということが、はじめて明かされたのです。」
     (資料1 月刊ワールドメイト第4号 1996年6月15日発行 P16より)

     いくらS氏が陳述書で終末予言商法の隠蔽を図ろうとも、深見が1995年頃からハルマゲドンなる言葉を弄して、終末予言をしていることが明らかです。
     ハルマゲドンとは聖書の「ヨハネの黙示録」から出た言葉で、この世の終わりの時に起こる一大戦争を指します。世界最終戦争と訳される場合もあります。そこから転じて、最後の審判そのものを指すこともあります。終末予言のルーツともいえます。
     オウム真理教の麻原がハルマゲドンの思想を愛用していたことは有名です。
     繰り返しになりますが、このような破滅的・終末的予言をして、信者の不安心理を煽り、金員を徴収するのはオウム真理教や法の華三法行などに見られるように、カルト教団の典型的な手法です。
     すなわち、ハルマゲドンを回避するためには××しなければならない、○○しなければ戦争が起こる、地震が起こる、ハルマゲドンが起こると煽りたて、信者の不安心理につけこんで奉仕や寄付を半ば強制するのです。


     また深見が大本教の教祖 出口王仁三郎の後継者を自認していることは、さすがのS氏もお認めになるでしょう。実際、深見の思想は大本教からの影響が色濃く見られます。ですから深見は大本教の終末予言などをよく引用し、口にしていたものです。その実例を挙げます。
     

     「……そうでなければ、世界人口は三分の一以下になってしまう。大本の筆先(大本教の予言)では、『人類三分になるとこまで行くぞよ』。三分ということは3%。残りの97%はいなくなるということです」(資料2 月刊ワールドメイト13号 1997年11月1日発行P88より)


     この『人類三分になるとこまで行くぞよ』という大本予言や「このままでは世界人口は三分の一以下になってしまう」といった終末予言は私の会員時代も深見から繰り返し聞かされたものです。

     

      鹿島の大神事が終わって3日後の7月2日、会員のNさんからワールドメイト宛に1枚のファックスが送られてきました。そこには、じつに衝撃的な内容が書かれていたのです。「私の知人はバーでバーテンダーをしているのですが、そこによく出入りしている自衛隊員が、最近その知人に対して、こう打ち明けたのだそうです。『自分は実は北朝鮮の人間だ7月25日に北朝鮮は日本にミサイルを打ち込む予定だ。だけどそれがどこに来るかわからないから、その前後は日本を離れていた方がいい』…」今年の鹿島には8400人以上の方々の誠が結集し、過去最高の神力が発揮された素晴らしい神事となりました。参加された方はご存知のように、その成果の一つとして、平日版では驚愕すべき北朝鮮の陰謀が明らかにされたのです。それは「400人の北朝鮮工作員のうち300人が、日本の自衛隊に潜り込んでいる。海上保安庁の誤報によって自衛隊が動いたときに、この工作員たちが情報撹乱することで戦争が始まる…」という御神示だったのです。(資料3 「神業情報ニュース」(ワールドメイトの機関誌です)1999年9月15日発行 P9より)


     自衛隊に潜入した北朝鮮の工作員がバーテンに最重要軍事機密を漏らし、その情報が一会員を通じてワールドメイトに伝わったとは、あまりの荒唐無稽な作り話に驚いてしまいました。
     そして、この北朝鮮の陰謀を打ち破るために宇佐八幡神業なるものが開催され、深見の「教義」を授ける講義が行われました。(正確な金額はわかりませんが)数万円の寄付金が必要な「宇佐神法悟得会」に1500人以上の参加があったそうですし、「秘鍵開示会」(通常、1万円以上の寄付金が必要)などが行われています。こうした有料講義の参加人数が少ないと「神様がお怒りになっている」とさらに脅しが入ることもあります。私の概算ではこのような神事を開催することで、数千万〜数億円もの売り上げがあります。次にその一例を示します。

    例:1995年5月20日、21日 気比神業

    ・気比神宮団体参拝(参加人数2452人×無料:ただし任意で寄付する人も多いのでまったくのゼロではない)
    ・天筒山参拝(同上)
    ・気比神宮緊急特別国防神法悟得会(同1979人×3万円以上ご随意)=5937万円
    ・神めなわ解き放ちの秘神事(同351人×15万円以上ご随意)=5265万円
                          合計 1億1千万円以上と推定される


     規模の大小はありますが、こうした行事が1998年には21回、1999年だけでも23回行われています(資料4 ワールドメイト神事の歴史 )。もちろん、以下に引用する終末予言にもそれぞれ付随した○○神業なるものが開催され、同様に多額の収益をあげています。さらにワールドメイトの行事はこれ以外にも多々あり、関連会社を含めれば年間数十億円から100億円もの売り上げをあります。詳細な分析は現在準備中ですが、これだけを見ても「不安産業は…もの凄く儲かりますね」という深見の言葉には頷けるものがあります。
     事業内容を別にすればワールドメイト(及びその関連会社)は超高収益体質のエクセレントカンパニーです。なにしろ1994年の時点で64億円もの資産隠しができるだけの高収益をあげているのです。しかもその巨額脱税の事実すら会員には知らされていません。深見がワールドメイト会員に「400人のマルサが捜査に入ったが結局なにも出てこなかった」「脱税事件はまったくの無罪潔白が証明され、立件されなかった」などと虚偽の事実を報告しているからです。
     私が脱税の事実を知ったのは、ワールドメイトをやめてからインターネットでワールドメイトの情報をいろいろ調べていたときでした。そのとき、はじめてワールドメイト(株式会社コスモワールド)が脱税(悪質な資産隠し)で立件されていた事実を知ったのです。ワールドメイトが宗教を隠れ蓑にして関連会社名目で海外にプールつきの豪邸や豪華クルーザーはおろか400艘のヨットが停泊できるマリーナまで所有していたというのです。
     深見の言葉を信じていた私はまんまと騙されていたのです。私たちのお布施がそのような用途に使われていたことも、全く知りませんでした。そして今尚、ワールドメイトの会員は深見に騙されているのです。哀れなのは、なにも知らず、深見の終末予言を信じ、不安にかられ、善意でワールドメイトに大金を寄付し続ける会員たちです。私も数年前まではその一人であったのです。
     人の道を求め、神の道を求めてくる会員の真心を踏みにじり、平気で騙し、弱者の不安心理につけ込む悪質な終末予言商法で「ものすごく儲」けている深見とワールドメイトに対して私は強い憤りを感じています。
     

     さて、深見先生が車に揺られて九頭龍神社に向かわれる途中、アパレシーダのマリア様がお出ましになり、繰り返し次のことを言っておられたそうです。それはこれからの世界的危機の方向性を具体的に示す、恐るべきものでありました。
     「2030年に食糧危機がやってきます。深刻な食糧危機のために、インドがパキスタンに略奪のために軍隊を送り込み、その報復としてパキスタンがインドに核を落とす……。そして核の風で太陽が覆われ、その三年後に、直径三キロくらいの小惑星が地球に飛んでくるようです。衝撃波と津波で太平洋沿岸都市は水没し、それでだいたい人類が滅亡するようです。」
    (資料5 「新・月刊ワールドメイト」 1999年12月15日発行 P15より)

     また、マリア様は最初にこう言っていました。『糸魚川、すなわちフォッサマグナに異変が起きたときに、人類の危機が近づく。それが合図である』(資料5「新・月刊ワールドメイト」 1999年12月15日発行 P17より)

     深見の説によれば、「人類の滅亡」「人類の危機」が近づいているとのことです。引用のために読んでいた私も段々怖くなってきました。こういう終末予言を次から次へとする団体をカルトと呼ぶのではないのでしょうか?
     


以下、陳述書後半に続く

注意:原則として裁判所提出の陳述書のままですが、一部、通し番号の変更やカギ括弧のつけ方の変更などで読みやすくするために編集した箇所があります。


 

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最終更新日:2005.04.11
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