陳 述 書


平成16年3月30日



 

根  本     栄

東京地方裁判所民事第 ●部 ●係 御中

K氏の陳述書への反論

 K氏(私が麻布支部に在籍していた当時のエンゼル会員)の平成15年8月27日付陳述書(甲58)を拝見しましたが、これは私の陳述書に反論できない原告・半田晴久が裁判戦術のために、当時のエンゼル会員であるK氏に不当な人格攻撃をさせて、私の陳述書の信憑性を貶めようとしたものですが、その企みは無残な失敗に終わっています。
 以下、このK氏陳述書がいかに陳腐で悪質な中傷文書であるかを述べたいと思います。

中略(K氏への反論。個人のプライバシーに触れるので省略)

 私がインターネットに投稿した書き込みを低次元と決め付けるなら、なぜ原告の半田晴久はその低次元な書き込みに反論できないのでしょうか?
 根本陳述書に半田自らが反論できないので、当時のエンゼル会員であるK氏に私の人格攻撃をさせて根本陳述書の信憑性を貶めようとしたのでしょうが、K氏陳述書がいかに陳腐で悪質な中傷文書であるかはこれまで述べた通りです。
 このような人物に陳述書を依頼する半田晴久の見識を疑います。


 


(3) ワールドメイトの神霊的中心についての見解


 

 K氏陳述書の「ワールドメイト会員にとって大仁の総本部皇太神社が神霊的な中心地であることに間違いありません」(5頁)とする記述には疑問があります。これは見解の相違なので私の意見が絶対に正しいとまでは主張しませんが、K氏の主張は明らかにワールドメイトの宗教理念と矛盾していると思います。私は、宗教的な意味でのワールドメイトの総本部は植松愛子の住む西荻の豪邸だと考えています。
 そもそもワールドメイトは一介の主婦だった植松愛子に神が降臨したことから、その歴史が始まっています。その開祖である植松愛子の降した神法の一つが「神は伽藍に降りず、組織に降りず、人に降りる」というものです。それでは「伽藍」とはなんのことでしょうか? 簡単に言えば宗教的な施設ということです。となれば、ワールドメイトにおいて宗教施設を重視しないのは当然といえます。ワールドメイトの宗教観では、神は人に降りるものだからです。
 それでは、神が降りる「人」とは誰のことでしょうか? ワールドメイトの宗教観では、全人類の最上位に植松愛子が位置し、その下に深見東州、そしてそのずっと下に我々一般人が位置しています。
 すなわち、神はまず植松愛子に降り、深見東州に降りるものであり、大仁町の「伽藍」に降りるものではありません。ワールドメイトの宗教理念・教義にしたがえば「精神的宗教的あらゆる意味においても、当団の宗教活動における中心的な役割を担っている」のは植松愛子その人であり、深見東州その人です。


 そして植松愛子は「神は伽藍に降りず」という自らの言葉を実践するかのように、昔から大仁町の伽藍にはほとんど足を向けません。通常、いわゆる宗教団体の総本部は聖地とされる場所に置かれ、教祖などが居住していることが多いようですが、ワールドメイトの開祖である植松愛子は大仁町に居住していません。彼女の詳しい住所は知りませんが、西荻近辺の通称「椿邸」と呼ばれる豪邸であることは公然の事実です。
 植松愛子は大仁町の「伽藍」に居住するどころか、その姿を「伽藍」で見る機会すらほとんどありませんでした。さすがに節分祭には出席していましたが、特別な行事がなければ、彼女の姿を大仁町の「伽藍」で見ることはまずありませんでした。ワールドメイトの開祖である植松愛子はなぜ大仁町の「伽藍」に居住しないのでしょうか?
 それは植松愛子が「神韻縹渺と霊峰富士を仰ぐ静岡県田方郡大仁町の施設」より「都会の喧騒の中にある東京都杉並区」西荻にある豪邸の方を好んだからに違いありません。
 ワールドメイトから年収を得ている植松愛子は、高級品嗜好が強い、優雅な上流婦人です。
 たとえばワールドメイトの機関誌「月刊ワールドメイト16号 1998年6月1日発行の「マミィ神業」という記事にはこうあります。
 

 「植松愛子先生といえば、まずその華やかさ優雅さ、美しさを思い起こされる方も多いことでしょう。美しいお着物姿、艶やかなドレス姿、ハイセンスな洋装など、その時々に最もふさわしく、その場を最高に演出される先生のファッションは私たち女性の憧れの的であり、先生に降臨されているご神霊の素晴らしさと輝きとを私たちに伝えてくださるものでもあります。」

「『御魂は見たまま。姿は素のかた』これは植松愛子先生がよく口にされたお言葉です。そこには、深い神霊的意義とともに、高次元な神様を頂いて、芸術性あふれる神界の有様を自ら表現される植松先生の姿勢が示されています。植松先生のファッションには、単なる身だしなみやおしゃれといた現世的なものにはとどまらない、神霊的な意義がありました」

 「先生は上流社会のお友達と接する機会に恵まれ、その方々よりパーティーのマナーやドレスやアクセサリーの取り合わせ、気配り、心使いの方法など、一流の女性として必要な具体的知識を多く吸収されたといいます」


 

  といった調子で植松愛子の人となりが、これでもかこれでもかと語られています。



「月刊ワールドメイト 第17号」P158-159

 「大体、植松先生の話題に登場するのは、お茶の●●先生、●●先生を中心にするご近所の方々が多いけれど、その方たちは、やっぱり荻窪の近くにお住まいの方たちで、その方々は、それなりの会社の重役さんの奥様方ですよ。その方々は、どこを見るかというと『本当にいい靴ね』というように瞬時に靴を見ている。いつの間に靴を見たんだろうかと思うね。だから、その方たちの家に上がったときには、安物の靴を履いていたらいけないし、靴はピカっと磨いてないといけない。靴の銘柄もちゃんと見ているから、最近、それにも気をつけますね。マレリーかイタリアのバリーを履いていれば、まあまあですよ。
 そのバリーあるいはマレリーの中でも、これはという素敵なのがあって、ブランド指向ではないけれど、そういうセンスを身につけてこなれてきたら、後は大して有名でなくても、ちょっといいというものをイタリアやイギリス、ドイツなどの旅行で買ってきたり、東京でもちょっといいというような、隠れたいいものをつけている。それほど有名ではないけれども、老舗のいいものを使っているな、というセンスが評価される。……だから、たまたま自分が引越しした先にいたご近所の人たちが、そのレベルにそぐわなければ、自分がちゃんとした文化的に次元の高い第六神界にふさわしいように、高貴に、文化的、芸術性、品格を磨こうと思ったら、そういう人たちが住んでいる所に引越しなさい」


「月刊ワールドメイト 第17号」P160

 「植松先生は、『自分が得るものがないような品のない洋服を着て、ファッションでも得るものがないような人とは、一分でも一秒でもお付き合いするのは嫌だから、絶対にお付き合いしないのよ。それが都会の厳しさなのよ』とおっしゃっていた。」


 このように上流志向が強い植松愛子が辺鄙な片田舎である大仁町に居住できるわけもなく、西荻の豪邸に住み続ける理由がわかったような気がしました。
  ただしワールドメイトでは、これをも「世俗的」な理由ではなく、あくまで宗教的な必然性だとしています。
 ワールドメイトの教祖・深見東州が同記事の中でその事情を次のように解説しています。
 

 「神様は、植松先生の体そのものをひもろぎ(根本注 媒介のこと)としてお出ましになる。植松先生は神様をお迎えするひもろぎとして、自分を美しくしなければならないと考えて実行していたんだ。」


 

 これらをまとめると、ワールドメイトの宗教理念では「神は伽藍に降りず……人に降りる」ものなのですが、植松愛子に神様が降りるためには「神韻縹渺と霊峰富士を仰ぐ静岡県田方郡大仁町の施設」ではなく「都会の喧騒の中にある東京都杉並区」西荻にある豪邸に居住していなければならないということです。となれば、ワールドメイト側の公式インフォメーションとは裏腹に会員の心理としては大仁町の「伽藍」に「精神的宗教的」中心としての求心力を感じるわけもありません。もちろんK氏のように思考停止に陥り、批判能力を失ったカルト会員はこの限りではありませんが。
  またワールドメイトに入会した会員などに配布される「会員であることの意義」と題するパンフレットによると「会員の皆様のために植松先生・深見先生は毎日祈っておられます。ワールドメイトに縁が結ばれた方が、一人も漏れ落つことなく幸せになっていただけるように、両先生は毎日言分けて神様に奏上されています」とあります。
 ワールドメイト開祖の植松愛子は大仁町の「伽藍」からではなく、高級品に囲まれた西荻の豪邸で毎日会員のために礼拝をしているのです。
 さすがに「神は伽藍に降りず」の神法を降ろした開祖だけあって、ワールドメイトの宗教理念を自ら体現しているわけです。
 教祖の深見は「自分がちゃんとした文化的に次元の高い第六神界(根本注・もっとも高貴な神々の霊界であり、植松は第六神界からの使者とされている)にふさわしいように、高貴に、文化的、芸術性、品格を磨こうと思ったら、そういう人たちが住んでいる所に引越しなさい」と述べていますが、もし西荻より大仁の方が第六神界にふさわしい土地ならば、当然、第六神界の御魂である植松は大仁に引っ越しているでしょうから、西荻のほうが大仁より第六神界にふさわしい土地であることは間違いありません。
 であれば、当然、ワールドメイトの神霊的中心は大仁町の「伽藍」ではなく、開祖植松愛子の住む西荻の豪邸ということになります。これは屁理屈でなく、私は会員時代真剣にそう考えていましたし、多くの会員も漠然とそのように受け取っていたと思います。
 そのためワールドメイトの会員歴が5年6年、あるいは10年という会員でも、大仁町の「伽藍」を訪れたことのない人はザラにいます。


 


(4)支部代表会議について


 

 K氏陳述書の「通常全国支部代表会議は、日曜日の関東定例講義の後に行われるため、平日というのは間違いです」(4頁)の指摘については間違いを認めます。
 私が支部運営を担当していた時期は、ワールドメイトが「ドリコメ」という教勢拡大を大々的に推し進めていた時期であり、通常の支部代表会議だけでなく、イレギュラー的に緊急のミーティングや会議がたびたび招集されていました。それらは支部代表者やコミッティ参加のものであり、なかには平日夜に開催されたものもありました。私のなかではそれらも含めて支部代表者に義務づけられた会議として記憶していたので、通常の支部代表者会議と混濁したものです。
 「深見先生のお話が朝まで続いた場合でも途中退出は自由であり」(4頁)とありますが、その内容自体の虚偽性はともかくも、事実としても朝にならなければ交通機関が利用できないので途中退出などしたくてもできないということを意味していると思います。
 「『過酷なもの』というのも根本さんの感想であり、通常全国の支部代表者は、この会議で深見先生のお話しを近くで直に聞く事を楽しみに来ています。話しが終わらない内に帰らなければならない場合は、むしろ後ろ髪引かれる思いで帰っています」と優等生的な記述がありますが、かつて支部メンバーの前で、「昔はセミナーでの深見先生の話が長くて、聞いているとお尻が痛くなって大変だったけど、最近は先生も体力がなくなってきて話が短くなってちょうどいいね」などと話して顰蹙を買っていたK氏の笑顔をはっきり記憶している私には、微笑ましく思えます。
 たしかに深見の身近で話を聞けることを特権的立場と考える人たちにとっては「楽しみ」だったかもしれませんが、私が代表会議に出席していたのは「ドリコメ」「世界占いフェスティバル」という名称で、詐欺的な勧誘活動を大々的に推し進めていた時期であり、深見からの「騙してでもいいから会員を増やせ」と指示をされ、それを実行したことに良心の呵責を感じている私にはそのような楽しみを感じる心の余裕などありませんでした。
 また、後に伊豆山事件というセクハラ問題を起こし除名処分になったI・Hが支部代表になった頃であり、最初から彼に悪い印象を持っていた私はそのIを支部代表会議でも「Iくん、Iくん」とやたらに誉めそやす深見や幹部の西谷の姿に嫌悪感を感じ始めていました。私にとって支部代表会議は苦痛以外のなにものでもありませんでした。


 


(5)K氏陳述書3の(8)について


 

 「また直会の席で神主(根本さんが職員と書いている人)が場を盛り上げるために、神社からあまり出ないことを誇張した発言があったかもしれませんが、根本さんの記述はそれを悪意で曲解されるように書いています。本来が神職ですから、あまり俗界にまみれない事を本旨とするのはあたりまえのことです」(5頁)とありますが、これにもワールドメイトの教義からするとおかしな話です。そもそもワールドメイトは「現代社会に即した宗教活動」を標榜しており、「生活修行」を教義の根本においています。深見は「俗界を離れた場所でいくら修行などしてもなんの意味もない。現代社会の荒波の中に揉まれながら神を第一として生き抜くことが本当の修行だ」と主張していたはずです。もし「神職が俗界にまみれないことを本旨」とするK氏の主張がワールドメイトの教義に則ったものであるならば、いくつもの企業を経営する教祖の深見はその本旨から外れているのではないでしょうか? 杉並区荻窪の豪邸に居住し、ワールドメイトから年収を得て、有閑マダムたちとの交友を楽しみ、高級ブランド品にまみれる植松愛子はその本旨から外れているのではないでしょうか? 
 神職といえども人間です。神職の方は独身男性ですが、私の知人が彼と話をした時は、女性との出会いがまったくないことを嘆いていたようです。禅僧やキリスト教の牧師と違って、もともと神社の神職には、禁欲主義や生涯独身といった習慣はありません。ワールドメイトにおいても職員やスタッフに独身を強要することはありませんでしたから、生身の男性としては当然の嘆きだと思います。要は大仁の施設が交通不便な場所にあるので、神職の方が俗界にまみれたくてもまみれることができないだけです。
 


(6)ワールドメイト支部とエンゼル会員の立場について

 K氏陳述書3の(1)「『支部がなければワールドメイトの活動自体が成り立ちません。』は根本さんが断定できることではないと思います」「運営の中心はワールドメイト職員であり、エンゼル会員は、お手伝いに過ぎません」(2頁)との主張には大いに反論があります。
 私の率直な感想を言えば、エンゼル会員はワールドメイトと雇用契約のない準職員のような立場であり、時には職員以上の労務や立場を負わされることさえあるのです。
 ここでは私の体験から具体的な事例をいくつか挙げておきたいと思います。


 たとえば西荻の施設を中心に行われる「お電話掛け」と称する奉仕活動があります。ワールドメイト会員に行事に参加するよう電話で勧誘することなのですが、これもほとんどがエンゼル会員の奉仕活動でした。
 もちろん、数万人の会員に電話をかけるためには膨大な会員リストが必要になるのですが、これは平成ビル2階の本部(現在、移転した模様)で会員リスト管理しているため、ご奉仕をするエンゼル会員はここへ足を運び会員リストを受け取っていました。あるいは本部に電話をして支部に送付してもらうこともできました。
 私自身は自宅から遠いため直接行ったことはありませんが、何度も行ったことのある会員の話では、本部のある平成ビル1階にドリコメセンターアネックスという施設(現在は移転した模様)があり、そこの責任者であるN女史に依頼すると、2階の本部職員にリスト出力を依頼しに階上に向かってくれたそうです。その時、N女史に「できれば大き目の紙袋を持参するように」との指示をされたこともあったそうです。これは時にリストがかなりの分量になることがあり、そのリストを持ち帰る際の移送時の破損を防ぐためでした。そのような指示が職員の側からされること自体、この場所で会員リスト打ち出しが頻繁に行われている証拠だといえます。
 この会員リストには、会員の氏名、性別、電話番号、会員番号、過去の救霊回数、メールアドレスなどが記されている会員のプライバシー情報です。
 このリストを受け取る際には、返却するか破棄するかのいずれかを約束させられますが、それ以上の制約はなにもないので、破棄を約束して持ち出してしまえば、後は各々のエンゼル会員が名簿業者に販売しようと個人的に流用しようと、誰にもわかりません。
 まったく杜撰きわまりない、お粗末な管理体制です。
 こうした会員情報を管理・保管・貸出を行っているのは平成ビル2階の「本部」であり、大仁町の施設ではありません。またこうした部外秘に属するプライバシー情報を職員同様、自由に入手する立場にあるのがエンゼル会員でした。実際、職員のパソコンにアクセスしてさらに詳細な個人情報を入手しているエンゼル会員もいました。


 さらにこれとは別に、支部にも支部近辺に居住している会員のリストが配布されていました。やはり会員の氏名、性別、年齢、住所、会員歴、電話番号などが記載されたプライバシー情報であり、支部で行われるイベントに勧誘するための資料として本部から配布されていたものです。
 驚くべきことに、西荻北のワールドメイト会館で行われる支部代表会議の席では、全国会費滞納者リストが配布され、滞納者への対応が話し合われたといいます。
 社会倫理上から言えば、関係職員以外には決して漏らしてはならない個人情報です。もしK氏が主張するように「エンゼル会員は、お手伝いに過ぎないボランティア」であるなら、このような行為は明らかにプライバシーの侵害にあたります。
 このような社会モラルに反する行為が日常的に行われ、しかもそのことを誰も疑問に思わないほど、ワールドメイトはエンゼル会員に依存し切っているのです。
 通常、部外秘とされる情報に公然と接する立場にある支部代表者やエンゼル会員が、「お手伝いに過ぎません」の一言で片付けられるでしょうか。
 支部代表者やエンゼル会員が単なるボランティアではなくワールドメイト職員と同等に近い立場にあることが明らかです。



 また、1996年から1997年にかけて行われた、新規会員獲得策であるビック・ドリコメカーニバルもエンゼル会員なしには成り立たなかったワールドメイトの大イベントです。
 ドリコメとは「ドリームランド コスモメイト」の略で、もともとはコスモメイト時代に会員が友達を気軽に連れて来れるような機会をつくる小イベントでした。それが入会者獲得の一大イベントに変化したのはワールドメイト名古屋支部が、統一協会と同様な手口で手相鑑定で街行く人を呼び込んで、巧みに教団に勧誘する方法で、1日で数十人の入会者を獲得してからです。


 街角でヌイグルミなどを着て、「無料手相鑑定 実施中」などのキャッチコピーで宣伝し、実施会場に多くの人を呼びこんで、「今、入会すると有名な占い師の先生に無料で鑑定してもらえますよ」というトークで入会用紙にサインをさせるというものです。


 その当時、全国で約100所の支部があったと記憶していますが、この100ヵ所の支部すべてに土日の2日間で40名以上の入会者を獲得するようノルマが課せられました。つまり、わずか2日間で、計4000人を入会させろということです。またこのドリコメを3回開催し、1度もノルマが達成できなかった支部は閉鎖されることが発表されました。無理難題としか言いようのない指示でした。


 1回目のドリコメは1996年12月の中旬に行われました。
  結果、この1回目のドリコメは、全国的にみて成功といっていい入会者数があったようですが、ノルマをクリアできない支部もかなりあったようです。
 ともあれ、この成功に気をよくした深見東州はワールドメイトの方向をガラリと変えました。すべてにおいて中身ではなく、数を優先させるようになりました。
  この頃、深見東州の言うことは二言目に「弘道布教」「弘道布教」でした。平たく言うと「会員を増やせ」ということです。
 表面上、入会・退会自由の神社方式を謳っていることとのギャップを深見東州はこんな風に釈明していたと思います。「神仕組は時代時代によって変わっていく。今は弘道布教をすることが神様が一番喜ばれることなんだ」と。
  もちろん会員が増えて喜ぶのも、減って怒るのも、神様ではなく深見東州なのですが。
 それが露骨になったのが第2回目のドリコメでした。


 2回目のドリコメは、全国的に雨模様で冷え込みが厳しく、天候に恵まれた前回と比べてると人通りがかなり少ない土日でした。そのせいもあって、入会者数は前回よりも大きく落ち込んでいたようです。
 これに激怒したのが深見東州でした。ドリコメの入会者数が落ち込んだのは、幹部のN氏とF女史のせいだと、支部代表会議で吊し上げたのです。
 「バカNとバカFのせいで、ドリコメが台無しだ! つまらない邪魔をしおって!」と深見東州は幹部2名を槍玉に挙げ、口汚く罵っていました。


 じつは、1回目のドリコメで「ノルマがクリアできない支部はお取潰し」と脅されていたために、地方の支部などではワールドメイトの説明をせず、とにかく「申し込み用紙に名前を書いていただければ手相鑑定が無料になりますよ」というトークでワールドメイトの入会名簿に名前を書かせていたところが少なからずあったようです。そのため後日、「ワールドメイトなんて聞いたこともない」「入会した覚えはない」といったクレームが本部に相次ぎ、担当者が対応にかなり苦慮したらしいとの話は私も聞いていました。


 地方では駅前の人通りといってもたいした人出はないでしょうし、当時、静岡県では全県的にオウムアレルギー・宗教アレルギー状態でしたから、全国一律に入会者40名のノルマを課しても、クリアできる支部は限られています。
 しかし、このままでは支部が潰されてしまう……。すると、次に考えるのは「多少強引でも、とにかく名簿に名前を書かせてしまえば支部を守ることができる」、地方の支部責任者がそう考えたとしても無理はないと思います。まったく身勝手な理由でしかありませんが、私はそうした不正行為を責める気にはなれませんでした。私が彼らと同じ立場に置かれていたら、やはり同じ行動をとっていたと思います。私は支部の責任者として、彼らの気持ちが痛いほどわかりました。


 これに懲りた本部サイドは、ドリコメの応対マニュアルを全国の支部に発送していました。入会名簿に名前を書いてもらう時には「本当にワールドメイトに入会していいんですね?」と念を押せとか、「入会すると毎月の会費がかかりますよ」と必ず最低限度の説明をしてくださいといった内容のものです。
 このマニュアルは幹部のN氏とF女史が作成し全国へ発送したものですが、深見東州の事前許可を得ていなかったらしく、このことに深見東州は不満を爆発させていました。
  深見東州は支部代表会議の席上、「わたしの断りもなく勝手にこんなもの(マニュアル)をつくりおって!」、「バカN!」「バカF!」「このマニュアルせいで、入会者数が激減した」、「このマニュアルを霊眼でみると、サボテンのようにトゲが無数に突き出ていて、読んだ人の心に突き刺さり、やる気がなくなるようになっている」、「こんなものは今すぐ焼き捨てろ!」などと発言し、大変な剣幕でした。
 そして「楠木正成は100戦して100勝し、1度も負けなかった武将だ。その武将がどこにも存在しないなら仕方ない。しかし、その武将が今ここに存命している(深見東州本人のこと。深見東州は、自身を楠木正成や聖徳太子、ダビデ王の生まれ変わりと自称していた)のに、その本人になんの相談もせず、勝手にこんなくだらないマニュアルをつくってドリコメを台無しにしおって……。大事な神業を邪魔する弟子がどこにいる?! バカモノが!」

  「入会させるのに念を押す必要なんかない。騙してでもいいから入会者を増やせばいいんだ。それで3日でやめたってかまわない。3日のあいだワールドメイトに霊線をつないであげれば、御魂の恩頼(みたまのふゆ・魂の栄養のようなもの)になって守護霊様もお喜びになるんだから、な〜にが悪いことがあるんだ?!」

 細かいニュアンスや語句に違いはあるかもしれませんが、大筋の趣旨に間違いはありません。結局、ドリコメ入会者激減の件で責任をとらされた根N氏は幹部から中島ビル(当時、ワールドメイトの発送業務を行っていた西荻窪のビル。エンゼル会員のたまり場になっていた) のヒラのご奉仕へ降格され、F女史も同様の処分を受けたと聞きました。
 私は、自分の良心と支部コミッティという立場の間で葛藤していました。私は支部代表をリコールしてコミッティに就任した経緯があるため、私情でコミッティを放棄することができなかったのです。
 この頃の私はまさにボロボロでした。コミッティになってから、まともな休日はほとんどありません。日に日に、体が動かなくなっていきました。会社も休みがちになり、日常生活さえまともに送れなくなってきました。それでも支部での活動を休むことはできなかったのです。
 さらにコミッティともなると多くの神業に参加せざるを得ません。消費者金融で金を借りては神業に参加するようになり、借金がかさんできました。
 深見の言動は日増しにエスカレートしていき、ワールドメイトは無軌道になっていく。そして、それをおかしいと思う人間は私を含め、ごく少数しかいません。
 私は、肉体的にも、精神的にも、経済的にも、限界に近い状態でした。



 1997年9月。「騙してでもいいから入会者を増やせ」という深見東州の言葉にしたがって、第3回目は、ワールドメイトが総力をあげて行う大イベントになってました。過去2回のドリコメでは、どのように勧誘せよといった指示はありませんでしたが、この第3回目のドリコメから深見東州監修のマニュアルビデオが全支部に配布され、勧誘トークが統一されました。入会をすすめる時に「ワールドメイトは宗教団体なんですか?」と尋ねられたら「私たちは宗教団体ではありません、明るく楽しく幸福を追求している団体です。」と断言せよとか、「入会させなくては意味がない。手相鑑定だけで満足させるな」といった指示がビデオのなかで30分ほどにわたって行われていました。
 日頃、あれほど「宗教法人」「宗教法人」と宗教法人格取得に執着していたのにもかかわらず、会員を獲得する時には、「私たちは宗教団体ではありません、明るく楽しく幸福を追求している団体です。」と騙ってなにも知らない人々を入会させろというのです。
 またそれまでの全国一斉に開催し、支部ごとに入会者数を競うという形式をやめて、1ヶ月にわたって日にちをズラして順次開催することになりました。毎週土日にどこかの支部でドリコメを開催していて、自分の支部が開催していない日は他の支部に応援に行くのです。ですから、一ヶ月の間、自分の支部のドリコメとその準備、今週は他の支部のドリコメの手伝い、来週はまた他の支部への手伝いとほぼ休みがないような状態でした。
 深見東州の指示とはいえ、詐欺のような勧誘で、入会者数は激増しました。私が所属する麻布支部だけでも土日の2日間で120名の入会者がありました。もっとも多い大宮支部などは400名の入会者がありました。1ヶ月間の全支部での総計はなんと1万人を軽くオーバーしていました。率直に言って、宗教団体の入会者としては異常な数字であると思います。しかし、異常を異常と感じるノーマルな感覚は当時のワールドメイトにはありませんでした。


 1997年11月4日、エンゼル会員向けの衛星放送が行われました。
  私はてっきり、これまで以上に「ドリコメで人を騙して入会させろ」とハッパをかけるのかと思っていたのですが、幹部の西谷氏が出てきて突然、「ドリコメは止めることになりました」としどろもどろで説明を始めました。
 周りのエンゼル会員は狐につままれたような顔でモニター内の西谷氏を注視しています。
 「いくら入会者を増やしても、結局、みんなやめてしまいます。全国のドリコメ会場費、チラシ代、必要経費、入会者への郵送物……。これだけでも莫大な経費がかかるのですが、入会者がやめてしまい、すべてが無駄になってしまうので、方針を変え、ドリコメはもうやらないことになりました。……」
 続いて、深見東州が登場し、次のように発言しました。
  「えー……、神様から私に、ご神示がありました。『このままでは来年の5月にワールドメイトが潰れるぞー、潰れるぞー』神様が何度も何度も私にそう仰ってます……」


 私は頭に血が昇りました。「おまえいい加減にしろよ!FAXで『神々さまも大変喜ばれてます』ってあれはなんだったんだよ! 楠木正成は100戦100勝で1回も負けなかったんだろ!? ドリコメが大成功して神さまが大喜びで、なんでワールドメイトが潰れちまうんだよ!?  やれ『支部を潰す』だの『代表をクビにする』だの『人を騙してでも入会させろ』だのとさんざんエンゼル会員を締め上げておいて、このザマはなんだ! おまえ頭丸めろ! みんなに土下座して謝れ!」
 モニターに映る深見東州に向かって、私は心の中で叫んでいました。


 深見東州は続けます。「そしてワールドメイトが潰れてから、神仕組(深見東州が救世主として世界を救済すること)をする団体がなくなり、会員さんがどこへも行くところがなくなって、ほんとうにワールドメイトのよさを再認識するようになる。ワールドメイトがなくなってから、ワールドメイトが素晴らしい団体だったことをみんなが再認識してワールドメイトをもう一度、再結成するように神様が考えていらっしゃる」「私がいなければワールドメイトはなくなっちゃうんですからね。」といったことを強調してました。


 要は、「なんだかんだ言っても、私(深見)がいないとあんたたち(エンゼル会員)が一番困るんでしょ?」ということです。
 痛いところを突かれた周りのエンゼル会員は神妙な面持ちで聞いています。
 ペースをつかんだ深見東州はこの後、なんの脈絡もなく「このままでは地球温暖化で海面の水位が上昇して、日本列島の多くが水没する」などという話を一生懸命して、危機感を煽り、ドリコメから話題を逸らすことに必死の様子でした。


 私はそれを聞きながら、怒るとか呆れるを通り越して、感心していました。「本当に麻原(旧オウム真理教教祖麻原彰晃)と同じだなぁ」と。
 「麻原も、選挙に立候補したときに当選すると予言していたのに、全員落選してしまい、彼の超能力に疑問の声が上がりはじめると急に沖縄でセミナーを開催し、「ハルマゲドンが来るからそれに備えろ」と危機感を煽ってその場をしのいだとなにかで読んだけど、こいつ(深見東州)も全く同じ事やってんな。やっぱり麻原シンパだけに似たような手口を使うんだなぁ」と妙に納得していました。


 このドリコメ失敗の影響覚めやらぬ1997年の5月頃、支部代表会議の席で、全国の支部代表者に次のような指示が出されました。
 「静岡県の宗教法人担当者から、ワールドメイトの宗教法人認可について否定的な見解があった。“ワールドメイトの全国支部には活動実体があるとは認められない。支部にいつ電話しても誰も出ない。これでは支部に活動実態があるとは認められない”というものだった。そのため、これからは支部に平日の昼間も必ずエンゼル会員を一人以上常駐させるように。もし、支部にエンゼル会員が不在で、静岡の宗教法人担当者からの電話に応対できなかったためにワールドメイトの宗教法人認証が遅れるなどの悪影響が出るようなことがあったら、その支部代表者に責任をとってもらう」というものでした。
 ついこの間まで、「ワールドメイトは宗教団体ではありません」と騙って会員を獲得せよと大々的に指示していたのに、それが失敗に終わると今度は宗教法人認証のため、まったくの無報酬で平日終日奉仕せよというのです。
 さすがにこの指示には後日、全国の支部代表者から「とてもできない」と反対の声が上がりましたが、これに深見東州は激怒し、「やってもいないのに、なぜできないなどと弱音を吐くのか。支部所属のエンゼル会員すべてに電話して協力をお願いしたのか? 何時間も説得したのか? おまえたちは文句を言うばかりで、まったく努力をしていないではないか! 支部代表者にやる気がなければエンゼル会員がやる気になるわけがない。支部代表者が真剣に神様にお祈りをすれば早くて3ヶ月、遅くても半年でご奉仕してくれる人が現れると神様が言っている」と反対の声には耳を貸さずに、あくまでそれが「神の声」であることを強調しつつ無償の終日奉仕を強要していました。
 このように新規会員獲得のために詐欺行為を行うことや、まったくの無償で平日勤務の奉仕活動を強要され、支部代表者に宗教法人の認証の可否にまで責任を負わされる支部代表や支部のエンゼル会員の立場を「お手伝い」の一言で片付けることができるでしょうか?
 以上K氏の主張がまったく的外れであることは明白です。
 


この陳述書は、根本さん裁判の際、根本さんが提出した「静岡地裁から東京地裁への移送申し立ての陳述書」に対して原告側から提出された陳述書への根本さんの反論を記したものです。

注意:原則として裁判所提出の陳述書のままですが、個人情報に関する部分の省略や読みやすくするために編集した箇所があります。


 

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